「デザイン思考によるサービス開発を約1年間実施した。成果もあったが反省点もある。このノウハウを生かし、さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていく」。

 三井不動産の塩谷義ITイノベーション部開発グループ長は2019年11月14日、日経 xTECHが主催した「DxD Summit(ディーバイディーサミット)」の特別講演に登壇してこう語った。講演のタイトルは「デザイン思考でサービス開発、不動産業そのものをイノベーション」である。

三井不動産の塩谷義ITイノベーション部開発グループ長

 三井不動産は2018年6月から2019年3月にかけて、新サービスを創出する取り組み「デジタルラボ」を実施した。社内外の若手、約20人を集めて5人1組で4チームを作り、約1年間かけて新サービスのアイデアを考えさせた。デザイン思考を全面的に取り入れた。

 各チームが1つずつサービスを企画してPoC(概念実証)を実施。役員や事業部門長の前で発表した。その結果、1つのアイデアが採用された。さらに有料サービス化は実現しなかったものの、販促キャンペーンに位置付けを変えて採用されたサービスも1つ誕生した。加えて人材育成の効果もあった。「ビジネススクールに通ったときよりも力が身に付いた、といった感想が参加者から出た」(塩谷グループ長)。

 反省点も残ったという。最も大きな課題は1年間をかけた割にアイデアを4件しか出せなかったことだ。そこでデジタルラボとは別に経営企画部が実施していた事業提案コンテスト「MAG!C(マジック)」に、デジタルラボで培った事業育成プロセスを取り入れることにした。

 具体的にはこうだ。MAG!Cには2018年度に約100件の応募があり審査の結果6件まで絞り込まれていた。そこでアイデアを出した6チームに外部講師のメンターを付けることにした。2週間に1度のペースでアドバイスを受けさせて事業化を促す。

 成果と反省を生かして、「現在は大小合わせて50件くらいのDX案件に取り組んでいる」(塩谷グループ長)。1年間デジタルラボを実施した影響で、事業部門からIT部門に対してサービス開発の相談が持ち込まれるようになったという。

■変更履歴
公開当初、「デザインラボ」と記載していましたが、正しくは「デジタルラボ」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。[2019/11/15 16:00]