読売テレビ放送のグループ会社であるytv Nextry(大阪市中央区)は2019年11月12日、NTTドコモ関西支社と5G(第5世代移動通信システム)プレサービスを利用した「高品質複数モバイル映像伝送検証実験」を実施したと発表した。「ドコモ5GオープンラボOSAKA」において実施した。

 実験では、次世代のフィールド制作に向けて、大容量で低遅延という5Gの特徴を生かして、複数のHDTV映像をリアルタイムでモバイル伝送し、映像の切り替えなどを行った。また取材先において、送り返し映像をスマートフォンで確認しながら生中継が可能であると証明した。

 具体的には、ドコモ5GオープンラボOSAKAR内に、取材場所と本社制作設備を想定した2つのスペースを仮設した。取材場所側では複数の放送用カメラのライブ映像を、複数の5G回線を使用してそれぞれモバイル伝送した。LTE回線では伝送できなかった地上放送のHDTV映像よりも高品質なHDTV映像データを5Gで送った。

 制作設備側では受信したライブ映像同士の遅延量や切り替えの可否、映像品質を検証した。さらに5G回線を通じて、切り替え出力の送り返し映像を取材場所のスマートフォンに伝送し、伝送遅延量や映像品質を検証した。

 モバイル伝送装置は、カナダのデジェロ(Dejero)の「Dejero EnGo」を送信装置として、「DejeroWayPoint」を受信装置として、「Dejero CuePoint」を送り返し装置としてそれぞれ使用した。H.265/HEVC方式で符号化してモバイル伝送したライブ映像は、「高品質かつ極めて低遅延でWayPointからSDI出力された」という。その映像をスイッチャーで切り替えた後、CuePointを使用して5G回線で伝送し、取材場所のスマートフォンに低遅延で表示した。

 高画質かつほぼリアルタイムに直接本社制作設備に伝送できるので、フィールド制作を円滑にできるようになり、より効率的な生中継が可能であると検証できたとする。

 今後は2020年度に予定されている5G商用サービスを利用し、現在LTE回線で中継しているスポーツ配信番組などでフィールド検証を予定している。

 このほかに、ライブ映像をRTMP(Real Time Messaging Protocol)方式で、5G回線を通じて米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services)のクラウドサービスにモバイル伝送し、クラウド編集・ネット配信に向けた検証も実施した。

■変更履歴
公開当初、動画圧縮規格を「H.264/HEVC方式」としていましたが、正しくは「H.265/HEVC方式」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。[2019/11/15 14:30]