TBSテレビは2019年11月1日、NTTドコモが提供する5G(第5世代移動通信システム)プレサービスを用いてライブ中継映像伝送を実施したと発表した。放送局側に設置したカメラリモートコントローラーと中継地点の放送用ハイビジョンカメラを5G回線で接続し、放送スタジオと同等の放送品質を担保した。

 TBSテレビは、同日放送の報道・情報番組(「あさチャン!」「ひるおび!」「TBSニュース」)において、渋谷スクランブルスクエア開業初日の模様などの一部において、生中継で視聴者にこの映像を届けた。「5G利用による地上波テレビ生中継の実施」は国内初という。

5G伝送による中継の様子(渋谷スクランブルスクエア15階から)
(発表資料から)
[画像のクリックで拡大表示]

 地上放送の生中継では、放送品質を保つため通常、中継車に設置したカメラのリモートコントローラーを用いて、綿密な色彩調整やアイリスコントロール(明るさ調整)を行う。また中継のタイミングを知らせるための信号(タリー信号)や、スタジオのキャスターと掛け合いトークを行うための低遅延映像信号(送り返し映像)を本社から中継現場に伝送する。

 今回の中継では、5Gのネットワーク上にVPN(バーチャルプライベートネットワーク)を構築した。TBS赤坂放送センターと中継地点となった渋谷スクランブルスクエアをダイレクトに接続し、赤坂放送センターに設置したカメラリモートコントローラーで、中継先カメラの遠隔制御を行った。

接続ネットワーク
(発表資料から)
[画像のクリックで拡大表示]

 ハイビジョン映像の伝送には、ソリトンシステムズ社の映像符号化技術を使用した。送り返し映像伝送にはTBSが開発した映像伝送システム「LIVEBACK」を使用した。

 これらと、5Gのプレサービスと組み合わせることで安定した映像伝送を行い、さらに5Gの低レイテンシー(低遅延)という特長を生かしたカメラコントロールシステムを併用することで、「今までは困難だったきめ細かい制御が実現可能となり高品質のライブ中継が実現した」と説明する。

 TBSテレビは、このリモートプロダクション技術(遠隔番組制作手法)を応用し、突発のニュース中継などにおいても高品質の中継を目指す。また遠隔無人監視など他業種への応用研究も進めていく。さらには、放送番組制作現場での人員の最適化を推進し、働き方改革の推進による番組クオリティの向上を目指す。