中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2019年10月9日、1基地局内での5Gスマートフォン複数台の下りリンク時最高速度として、3.67Gビット/秒(bps)を記録したと発表した(Huaweiのニュースリリース1)。スイスの通信事業者Sunriseとの連携で、チューリッヒで実施したもの。両社は以前にもスマートフォン1台での最高速度2Gビット/秒を確認している。

 今回の実験は、Sunriseの商用5GネットワークとHuaweiの3GPP準拠の5G対応商用通信機器類を使って、Cバンドの帯域幅100MHzを利用した。HuaweiのMU-MIMO技術により、新たな周波数帯や電力消費を伴うことなく上記性能を実現したとしている。

 Sunriseは、欧州で初めて5Gネットワークサービスを開始した通信事業者として、現在スイスの262を超える市町村にサービスを展開している。今後もスイス全人口への5Gネットワーク提供を目指してHuaweiと連携していくとしている。

5Gアンテナの技術白書を公開

 Huaweiは2019年10月8日、同じく自社のニュースリリースにて、5Gアンテナの技術動向をまとめた「5G Antenna White Paper」も公開している(Huaweiのニュースリリース2)。同白書では、基地局設備の簡素化やAI(人工知能)を使った維持運用など、5Gアンテナの最新技術動向を紹介。その基本特性や設計について、次のような考察を行っている。

 5Gアンテナの基本特性の1つとして、eMBB(Enhanced Mobile Broadband、モバイルブロードバンドの高速大容量化)実現に向けた、各種周波数に対応するビームフォーミングが挙げられる。高精度のビームフォーミングを行うことで、より高いRSRP(reference signal received power:リファレンス信号受信電力、基地局からの電波受信レベル評価時のパラメータ)やSINR(signal to interference plus noise ratio:信号対干渉雑音比、信号受信品質を示す指標の1つ)が可能となる。こうした高精度のビームフォーミングは、既にCバンドやTDD方式での2.6GHz帯に対応済で、今後FDD方式のサブ3(3GHz未満の周波数帯)などへの展開も進んでいく。

5Gで進むビームフォーミングの各種周波数対応と機能追加
出所:Huawei
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 5Gアンテナの特長として協調設計を挙げる。5Gでは、無線アクセスネットワーク(RAN)とアンテナ間をはじめとする、エンドツーエンドの協調設計により、アンテナはさらに進化する。様々な周波数帯に対応するため、基地局設備の簡素化や上述の各種周波数帯対応ビームフォーミング、アクティブアンテナ、超広帯域をサポート可能なRFモジュールも必要となる。こうして5Gでは、4G時代の性能調整中心の設計から、部品、製品、機能など様々なレベルでのRANアンテナ間協調設計への移行が進み、それが5Gネットワークの構造や性能改善へとつながっていく。

5Gで進むアンテナとRAN間の協調設計
出所:Huawei
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 5Gアンテナの進化により、ネットワーク管理も合理化、簡素化されていく。例えば運用管理にAIを採用することで、高層ビルなどには垂直、かつ広範囲に、高速道路などでは狭域かつダイレクトにと、状況に応じたビームを自動的に生成する自己最適化ネットワークも提供可能となる。

状況に応じたカバレッジを実現するビームを自動生成
出所:Huawei
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 アンテナの一部を停止するチャンネルシャットダウンを、カバレッジに悪影響を与えず適切に実施することで、ネットワークのエネルギー効率向上を実現する。

アレイアンテナのチャンネルシャットダウン機能
出所:Huawei
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 このほか、mMTC(Massive Machine Type Communications、移動通信網への大量機器接続)対応アプリケーションに向けては、GPSなしでもIoT端末での位置確認を可能にする高精度リアルタイムポジショニング機能が実現可能となる。

 同白書(pdf形式)は「5G Antenna White Paper」サイトからダウンロード可能となっている。