「IoT(Internet of Things)デバイスが増え、エッジでAI(人工知能)処理を実行できるコンピューターのニーズが高まっている。しかし、現在では価格を含め適当なものがないため内製した」(沖電気工業(OKI) 取締役常務執行役員の坪井正志氏)。

 OKIは2019年10月3日、ディープラーニング(深層学習)の推論処理をエッジで高速に実現し、耐環境性にも優れるAIエッジコンピューター「AE2100」を発売した。米インテルが提供するAIアクセラレーター「Movidius Myriad X VPU」と、オープンなディープラーニング推論実行環境「OpenVINOツールキット」を搭載する。さらに米マイクロソフトとの提携によって、同社のクラウドサービスやAI機能などをIoTデバイスで実行できるようにするための「Microsoft Azure IoT Edge認定」を取得しているという。

AIエッジコンピューター「AE2100」。市場想定価格は18万円(税別)と、コストパフォーマンスに優れることをうたう
(写真:日経 xTECH)
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 昨今、さまざまな産業分野におけるリアルタイムでのデータ活用のニーズの高まりとともに、端末側のエッジでのAI機能の強化が求められている。具体的には、ディープラーニングの学習モデルの処理をクラウド上で行い、エッジではその学習モデルを利用した推論処理を短時間に実行、その結果をクラウドにフィードバックする必要がある。

 ところが、「これまではAIのエッジ処理のためのいいコンピューターがなく、困っている企業が多かった」(坪井氏)という。コンピューターメーカーが販売する産業用のパソコンはAIの処理には力不足である一方、米エヌビディアのGPUボードを搭載したAIエッジ処理向けのコンピューターは1台で50万円以上するという。

 これに対して、OKIのAE2100の市場想定価格は18万円(税別)から。ディープラーニングの推論処理性能は、Myriad Xを搭載することでCPU単体動作時に比べて約25倍と高いという。さらに、-20~60℃の温度下で動作する耐環境性を備える。

AE2100のディープラーニング推論処理性能
(図:OKI)
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 IoTの構築に不可欠な、豊富な外部インターフェースを備えるのも特徴。Wi-Fi、Ethernet、USB、RS232C/485に加え、920MHz帯のマルチホップ無線「SmartHop」を搭載し、センサーをつなぐ自営IoT無線ネットワークを構築できるという。セキュリティー機能として、セキュアブートに対応し、業界団体のTCG(Trusted Computing Group)が策定したTPM2.0機能を搭載している。

目標は3年で累計5万台

 ターゲットにする市場は交通、製造、建設/インフラ、防災、金融・流通、海洋。例えば、道路の映像から通行する車両を認識・分析して道路状況を把握したり、橋梁など設備の振動や音のデータを収集して異常を検知したりするなど、多様な産業応用が期待できるという。

AE2100を使ったAI交通量解析ソリューションのデモの様子
(写真:日経 xTECH)
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 販売目標は今後3年で累計5万台。代表取締役社長の鎌上信也氏は、「この3年で300億円程度の市場を獲得したい」と語った。

 なお、OKIはAE2100を活用したソリューションを、2019年10月15日から開催される「CEATEC 2019」に出展する予定だ。