米Qualcomm(クアルコム)は2019年9月24日、サンディエゴ本社で開催した同社5G関連ワークショップ「Future of 5G」概要を自身のブログに公開した(Qualcommのブログ)。今回のワークショップでは、同社の企業向けミリ波屋内通信や、産業向けIoT、セルラーV2X(C-V2X)、XR(eXtended Reality)といった5Gを使った新産業に関するデモも披露されている。このプレゼンテーション資料はQualcommの「2019 Future of 5G Presentation」ダウンロードサイトから入手可能となっている。下記はその要約である。

出所:Qualcomm
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DSSでSAへダイレクトに移行

 2019年は、5G NR関連機器とネットワークサービスの商用化が開始され、世界規模で広まる年となった。2020年にはさらに多くの5G対応スマートフォンが市場に出回り、利用者数も増加すると同時に、常時接続PCといった新市場も立ち上がる。周波数に関しても、これまでのサブ6G(6GHz未満の周波数帯)やミリ波帯に加えて、オークションや動的周波数共有技術(Dynamic Spectrum Sharing、DSS)により、5G利用可能な周波数帯が増えていく。ちなみにDSSを使えば、低周波数帯での5Gカバレッジが広がるだけでなく、現在の商用5Gネットワークで使われるNSA(Non Standalone)5G NRからSA(Standalone)へのダイレクトな移行も可能となる。

 2019年の5Gサービスは、eMBB(enhanced Mobile BroadBand、高速大容量通信)と固定無線アクセスから始まった。ここからは、そのサービス開始までの軌跡と、5Gの次に何が来るのかを考察する。

EV-DOからHSPAへ

 Qualcommの5G研究は、1993年のセルラー方式によるモバイルインターネット構想立ち上げ時にまでさかのぼる。当時はまだ2Gの時代であり、効率の良いモバイルインターネットの実現に向け、3G向け携帯電話方式「CDMA2000」のデータ通信技術EV-DO(Evolution Data Only)を開発。このEV-DOを基に、W-CDMAを拡張した高速データ伝送技術HSPA(High Speed Packet Access)が開発され、4G LTEを経て5G NRのeMBBを実現する土台となる技術に成長した。

移動通信は10年ごとに大きく前進
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 EV-DO以外にも、Qualcomm が先駆者として研究を進めた技術には、VoIP、キャリアアグリゲーション、OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)の応用、ミリ波帯や免許不要周波数帯(アンライセンスバンド)の活用などが挙げられる。現在の5G技術は、こうした30年にわたる研究を基に開発された。

5Gに向けた基礎は2Gの時代から始まっていた
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