米アップル(Apple)の日本法人や米グーグル(Google)の日本法人、トヨタ自動車、ホンダ、LINE――。そうそうたる企業が同じ目的の実現に名を連ねたプロジェクトがある。日本の小学生に向けたプログラミング体験の提供だ。

「未来の学び プログラミング教育推進月間(通称:みらプロ)」の紹介ページ
(出所:未来の学びコンソーシアム)
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 文部科学省や総務省、経済産業省は2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間(通称:みらプロ)」に設定した。2020年度から全国の小学校でプログラミング教育が必修になり、その準備を推進するためだ。

 みらプロの主要な取り組みの1つが、企業と連携する「総合的な学習の時間」の実施をサポートする取り組みである。

 「総合的な学習の時間」とは2019年度の2学期と3学期、約35時間分の指導案を各企業がそれぞれ用意する授業で、その一部にプログラミング体験を含む。協力企業は「企業訪問」「講師派遣」「教材提供」の3パターンで授業の一部をサポートする。

 協力企業は約20社で、指導案も約20個ある。その中で、プログラミング体験を前面に押し出した4つの指導案を、プログラミング教材を中心に紹介しよう。

画像認識AIを組み込める

 最初に紹介するのはグーグル日本法人の指導案「AIとプログラミングで、身近な課題を解決しよう」だ。プログラミング体験では「Scratch 3.0で使える拡張AIブロック」を使い、画像認識のようなAI(人工知能)機能を活用したプログラミングを学べる。

Scratch 3.0と拡張AIブロックで製作した、商品を見て金額を回答するAIレジのプログラム
(出所:グルーヴノーツ)
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 Scratchはコードを書かずにブロックを並べてコーディングするビジュアルプログラミング言語である。世界中で利用され教育向けの利用も多い。そのため、サポートが充実しており、チュートリアルの動画やカード(コーディングカード)などが公開されている。パソコンのブラウザーやタブレットのアプリなどを通じて利用でき、日本語にも対応しているので小学生にも扱いやすい。

 今回の拡張AIブロックは、学童保育「TECH PARK」を運営するスタートアップのグルーヴノーツがグーグルの技術サポートを受け、TECH PARKで児童に使ってもらいながら開発した教材だ。「小学生からAIでプログラミングできるツール」を目指したという。

児童がグーチョキパーをAIに学習させている様子
(出所:グルーヴノーツ)
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 AIに画像を覚えさせ、拡張ブロックとしてScratchに登録することで画像認識の機能を使えるようになる。これを使って「じゃんけんゲームアプリ」や「特定のモノを認識するアプリ」など様々なアプリを作成できる。

段ボール製ロボットを動かせる

 次に紹介するのがNTTドコモの指導案「プログラミングを生かしてよりよい生活に」だ。

 プログラミング体験には前述のScratch 3.0のほか、同社が開発した「embot」という教材を使う。embotは段ボールと機器のキット、タブレットやスマートフォンで動くアプリから成る。段ボールでロボットを組み立て、そのロボットをプログラミングで動かせる。プログラミングした結果をロボットの動作で視覚的に体感できる。

NTTドコモの「embot」は段ボールのロボットを動かせる
(出所:NTTドコモ)
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 embotはビジュアルプログラミング言語で、指示や条件のアイコンをフローチャートのようにつないでプログラミングする。視覚的にカラフルで分かりやすく、「if」や「for」といったプログラミングには欠かせない概念も学べる。授業用のサポートツールも充実しており、冊子やDVD、講習などを用意する。