自動運転車は人工知能(AI)をはじめ、様々なソフトウエアを駆使して走行するため、プログラムのバグは大敵である。では本物の昆虫はどうだろうか。人間が運転する車なら、外を飛び回る虫などさほど気にならない。しかし「自動運転車にとっては昆虫は大敵である」と、米フォード(Ford Motor)の自動運転車開発チームは考えている。

 自動運転車は、カメラやセンサーなどが眼となり周囲の環境を認識する。この眼の部分が雨やほこり、鳥の糞や虫によって汚れると周囲認識能力が急に低下する。自動運転車が安全に走行するためには、周囲環境を認識する高度なセンサーと、それらがどんな環境でも動作するようにするツールが必要だ。

(写真:Ford Motor)
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 フォードはそのツールを開発した。虫については、動物学者のMark Hostetler氏の協力を得て、走行中のクルマに接触する昆虫の種類とその頻度を調査した。調査結果をもとにして、最初の研究では、カメラやセンサーに付いた虫を取り除く方法より、虫そのものを寄せ付けない方法を考えた。カメラやLiDAR、レーダーなどをルーフに取り付ける「ティアラ」と呼ばれる支持台部分を活用し、カメラのレンズ近くの穴から空気を噴射する。これがエアカーテンとなり、カメラのレンズに虫が接触しないようにした。テストの結果、ほとんどの虫がカメラのレンズに近づくのを防ぐことができたという。