小倉記念病院とGEヘルスケア・ジャパンは、AI(人工知能)技術を活用した冠動脈内腔の自動検出の実現に向けた共同研究の成果を発表した。2019年9月1日(日本時間9月2日)の欧州心臓病学会(ESC)2019で報告した。

 高齢化によって心臓疾患の患者が増加しており、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まる急性心筋梗塞が日本の死因の上位を占めている。急性心筋梗塞は、病院到着から90分以内に診断と治療を行う必要がある。現状では検査の解析が1時間程度かかることもあるという。

 AIによる冠動脈内腔の同定が可能になれば、心臓CT検査を受けて診断するまでの待ち時間が大幅に短縮される。緊急治療が必要な患者に対して、速やかな対応ができるようになる。緊急を要しない患者も「自分が狭心症ではないか」と不安に思いながら待つことなく、すぐに診断してもらえるといった効果が期待できる。

冠動脈内腔の自動抽出プログラム(出所:小倉記念病院、GEヘルスケア・ジャパン)
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 小倉記念病院とGEヘルスケアの共同研究チームは、AI技術の1つであるディープラーニング(深層学習)に分類される「3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D-CNN)」を用いた。小倉記念病院に蓄積された過去4年間の約2万件の心臓CT検査画像から、心臓の特徴を学習させて冠動脈内腔の自動抽出プログラムを作成した。

 冠動脈は血管径が約3mmと細い。血管内腔にある病変の診断で、血管の位置を同定する際に0.2mm~0.3mm程度でもずれてしまうと評価が困難になることもある。そのため、まずはAIを用いて冠動脈全体を抽出し、得られた冠動脈データからAIを用いて冠動脈内腔を抽出するという2段階アプローチで、診断精度の向上に成功した。今後はさらに検証を進め、早期実用化を目指す。