理化学研究所(理研)は2019年8月30日、スーパーコンピューター「京」の全電源を停止し、システムをシャットダウンした。2012年9月に計算資源の共用を始めて以来、研究機関の他、200社以上の企業が利用した。同日、理研は京を設置する計算科学研究センター(神戸市)で「シャットダウンセレモニー」を開催。関係者が集まり「別れ」を惜しんだ。

スーパーコンピューター「京」をシャットダウンするセレモニーの様子
国会議員などの関係者が見守るなか、京の電源供給を止めた
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 京は約1100億円を投じる国家プロジェクトだった。理研と富士通が共同開発し、演算性能は10.51PFLOPS(ペタフロップス、1秒当たりの浮動小数点演算回数)を記録。2011年6月と11月には、スパコンの演算性能ランキング「TOP500」で世界1位を獲得した。その後、2019年6月に同ランキング20位まで退いたが、ビッグデータ処理で重要なグラフ解析能力を競うランキング「Graph500」では9期連続で世界1位を維持した。

 シャットダウンした京は撤去され、その跡地には後継となるスパコン「富岳(ふがく)」を設置する。スパコン向けのCPUとして、世界で初めて英アーム(Arm)の命令セットアーキテクチャーを採用するのが特徴だ。アプリケーションの実行性能で京の100倍を目指す。富岳の開発は2014年に始まっており、共用は2021年度となる。

 「京は並列計算技術における、わが国の歴史的な転換点として名を残すだろう」。理化学研究所 計算科学研究センター長の松岡聡氏はこのように語り、同セレモニーを締めくくった。