パナソニックは2019年8月8日、コンサートホールやスタジアムなどでの利用を想定したプロ向けのサウンドシステム「RAMSA(ラムサ)」の発売40周年イベントを開催した。イベントでは2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピックでの採用に向けた新しいソフトウエア群「PASD(パスド)」の詳細を明らかにした。

 「1998年冬の長野オリンピックから積み上げたノウハウを結集した。東京オリンピック・パラリンピックではより大規模で、臨場感のある音響システムを提供したい」。同社の松本泉コネクティッドソリューションズ社メディアエンターテインメント事業部テクノロジーセンター商品設計部商品設計六課長はこう意気込んだ。

 PASDは複数のスピーカーを連結して構成する「ラインアレイスピーカー」の最適な設置場所や角度などをシミュレーションできる。スピーカーを設置する会場で測定した音から、本番での音響状況をシミュレーションし、ラインアレイスピーカーの構成や配置、各スピーカーの向き、重心などをパソコン上で検証する。本番でシミュレーション通りになっていない場合は、会場内でパソコンから音響装置に命令を送って調整する。

RAMSAブランドのラインアレイスピーカー
(出所:パナソニック)
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 これまでは事前にシミュレーションしても、会場の特性によってその通りの音響にならないケースが多く、「本番中に音響担当者が実際の音を聞きながら調整する必要があった」(松本課長)。PASDを使うと本番により近い音響がシミュレーションできるため、「本番での調整がほぼ不要になる」(同)という。

 PASDで本番に近いシミュレーションが可能になった背景には、モデリング技術と音響測定技術の進化がある。これまでのモデリングには無かった「時間」などを採用するため、音の聞こえ方などを細かくシミュレーションできるようになった。

 パナソニックはPASDを無償で提供する。全国でPASDの講習会を実施し、受講者に対してライセンスを与える。PASDを使ったRAMSAの音響システムは東京・恵比寿にある「ザ・ガーデンホール」などで既に採用されている。