移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は2019年8月6日、5G標準化の状況を解説するオンラインセミナー「ATIS/3GPP Webinar 5G Standards Developments in Release 15 and Beyond」の概要を、自身のニュースリリースに掲載した(3GPPのニュースリリース)。パートナー団体であるATIS(Alliance for Telecommunications Industry Solutions)と共同で開催する。YouTubeのATIS/3GPP オンラインセミナーサイトにて視聴可能となっているほか、プレゼンテーション資料(PDF形式)についても、ATIS/3GPP オンラインセミナー資料閲覧サイトから閲覧可能となっている。

ATIS/3GPP Webinar 5G Standards Developments in Release 15 and Beyond
出所:ATIS
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5Gへの要求仕様について
 現在、3GPPでの5G仕様標準化活動を牽引する要求仕様には、4つの源流がある。ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)の定義するIMT-2020(5G)によるもの、既存の4G機能の5Gでの継続サポート要求、通信業界からの新機能要求、その他業界からの新機能要求の4つだ。リリース15では、市場要求に基づきeMBB(enhanced mobile broadband、高速大容量通信)を主要な要件としながらも、mIoT(高密度な機器配置での対応も含む)、クリティカルコミュニケーション(産業自動化や触覚による通信(tactile internet)を含む)、ネットワーク管理などの分野についても検討も行われた。

3GPP 5Gが検討を進める要求仕様の4つの源流
出所:3GPP
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 リリース16では、2020年中盤での標準化完了に向け、海事、衛星、放送、スマートシティ、公共事業など、様々な業界からの要求仕様への対応を行っている。さらにリリース17に向けては、自動運転や5Gによる鉄道管理、音声や映像サービス、インターネットによる対話式サービス(network controlled interactive services、NCIS)、マルチSIM対応端末の実現などに向けた検討を進めていく。

3GPPの今後のリリーススケジュール
出所:3GPP
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5Gコアネットワークについて
 Option 3(Non Standalone:NSA)において、4GコアネットワークであるEvolved Packet Core(EPC)は初期の5Gサービス実現に大きく貢献した。今後は、Service Based Architecture(SBA)、ネットワークスライシング、ユーザープレーン(データ送受信用信号)とコントロールプレーン(通信制御信号)の機能分離、クラウドエッジコンピューティング、サービス品質向上実現に向け、5Gコアネットワーク(5G Core:5GC)のEPCとの機能差別化を進めていく。リリース16では、V2X、機能強化版NB-IoT、Location Services(LCS、位置確認サービス)といったユースケースに向けた機能追加を行っていく。

5Gコアネットワークの構成
出所:3GPP
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5G無線アクセスネットワークについて
 リリース15では、eMBBを中心に、URLLC(Ultra-Reliable Low Latency Communications、超高信頼性低遅延通信)の基本機能も含めた標準化が行われた。リリース16では、新市場からの要望に基づき、さらなる性能改善と効率向上を行う。具体的には、MIMO技術の強化、端末の省電力化、干渉の制御、無線によるバックホール、URLLCや産業向けIoTの実現、セルラーV2X機能強化、ポジショニング機能や免許不要帯の活用などが含まれる予定だ。

5G NRで実現可能になる技術
出所:3GPP
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リリース17での検討事項
 5Gのさらなる機能強化に向けたリリース17の計画も既に始まっている。下記のような案件を検討していく。

リリース17での検討事項
出所:3GPP
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