ガラスや金属の表面処理事業を手掛けるNSC(本社大阪府豊中市)は、黒鉛の高純度化加工に乗り出す()。本社工場内にパイロットラインを新設し、2019年9月から稼働させる予定。2020年度を目標に量産ラインの建設も計画している。リチウムイオン2次電池(LiB)などで需要が拡大している高純度黒鉛を国内で生産し、短納期で供給できる体制を整える。

図:黒鉛の高純度化処理前後の比較
(出所:NSC)
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 同社は液晶ディスプレー用ガラスのケミカル研磨技術を有しており、パイロットラインではこの技術を生かして天然の黒鉛鉱石に含まれるシリカ(SiO2)を除去する。黒鉛からSiO2を取り除くのに使う酸薬品はガラス研磨に用いるのと同じもので、同社は精密かつ安全に酸を制御して加工できる技術を持つという。さらに、環境への負荷を軽減するための酸の処理設備を社内に保有しており、追加の設備投資が不要なのも強みとする。

 黒鉛の高純度化の一例として、同社の技術は純度を95.78質量%から99.99質量%に高められる。pHは6.7から6.1に、含水率は0.17質量%から0.13質量%にできる。

 黒鉛は、摩擦材や潤滑剤、耐火物、電子部品、電池の電極などに使われる。中でも鱗片(りんぺん)状天然黒鉛は、LiBの負極材向けで需要が大きく伸びているという。天然の黒鉛は従来、埋蔵量の多い中国で産出されたものがほとんどだったが、需要の増加に伴い、アフリカなどでも鉱山開発が進む。

 天然黒鉛鉱石には無機の不純物が多く含まれ、特にSiO2を除去するために酸処理が必須とされる。一般には中国で酸処理を施すが、近年は中国国内の環境規制の強化などによって一部の工場が操業停止となり、安定的に高性能な高純度黒鉛を入手するのが難しくなりつつあるという。

 同社は既にサンプル提供を開始しており、顧客から一定の評価を受けていることからパイロットラインを設置し、月産100t以上の量産技術を確立する計画だ。併せて、パイロットラインで加工した高純度黒鉛を国内外に供給し、採用の拡大を目指す。