宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が2019年7月11日、最大の山場となる2回目のタッチダウンに挑戦し、見事成功させた。

 日本時間の午前10時41分ごろ(プレスルームのモニター表示上での時刻)、探査機本体の惑星との相対速度が分かるドップラーデータから、探査機本体が降下から上昇に転じ、所定の速度(65cm/s)で上昇し始めたことを確認(図1)。その後、地球と通信する探査機本体のアンテナを、情報量が少ない指向性の低いローゲインアンテナから情報量が多い指向性の高いハイゲインアンテナに切り替え、より多くの情報を地球に吸い上げていた。

 成功を確認したのは、午前10時53分ごろ(同)。JAXAのはやぶさ2の管制室では大きな拍手が沸き起こり、管制室メンバーが中継カメラに向かってVサインをして喜びを示した(図2)。

図1 探査機本体が降下から上昇に転じ所定の速度を確認した直後、握手を交わしたり拍手をしたりして喜びを表すはやぶさ2の管制室のメンバーら
図1 探査機本体が降下から上昇に転じ所定の速度を確認した直後、握手を交わしたり拍手をしたりして喜びを表すはやぶさ2の管制室のメンバーら
(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 2回目のタッチダウン成功でVサインで喜びを示す管制室のメンバーら
図2 2回目のタッチダウン成功でVサインで喜びを示す管制室のメンバーら
(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 ハイゲインアンテナは、アンテナを地球に向けないと通信ができない。このため、タッチダウン地点の傾斜に合わせて探査機本体を傾けるタッチダウンの姿勢では、同アンテナは使えない。タッチダウンの過程では、指向性の低いローゲインアンテナに切り替え、ドップラーデータなど限られた情報の通信を行っていた。

 同年2月22日に実施した1回目のタッチダウンでは、小惑星「リュウグウ」の表層の物質を試料として採取したが、2回目のタッチダウンでは同年4月5日に衝突装置(Small Carry-on Impactor、SCI)の銅板(ライナー)を打ち込んで形成した人工クレーターからの噴出物(イジェクター)の採取を目指した。

 2回目のタッチダウンで狙ったのは、人工クレーターの中心から約20m、事前に落下した光を反射する目印(ターゲットマーカー、TM)から2.6mの地点を中心とする半径3.5mの領域である。JAXAによれば、この領域には、リュウグウの深さ0~約1mから掘削された物質の混合物(惑星内部の物質)が、イジェクターとして平均約1cmの厚みで堆積していると推定されるという。

 惑星内部の試料を採取する意義は、表層の試料との比較によって、表層の試料における太陽風や宇宙線による影響を評価できること。また、もし地下物質がその影響をあまり受けていなければ、太陽系形成期の情報を詳細に得られると期待される。特に、有機物は太陽風や宇宙線によって影響を受けやすいため、地下物質を得ることは大きな価値がある。

 また、工学的には、1つの天体の複数地点から試料を採取するマルチサンプリング、地下物質を採取する地下サンプリングという2点において、世界初の挑戦。これを成功させることは、今後の宇宙探査の自在度を高めるという点で価値があるという。

■変更履歴
この記事の掲載当初、第6パラグラフの1行目に誤りがありました。2回目のタッチダウンで狙った領域の人工クレーターの中心からの距離は、正しくは約20mです。お詫びして修正します。本文は修正済みです。