抗がん剤開発の成功率向上へ、がん研究会と凸版印刷が共同ラボ

2019/06/26 05:00
近藤 寿成=スプール

 がん研究会と凸版印刷は、がん研究会の「がん化学療法センター」内にがん研究のための共同ラボを設立し、2019年6月25日に本格稼働した。がん研究会の持つがんの先端研究成果の知見と凸版印刷が持つ3D細胞培養技術を融合させ、生体のがん組織に近い環境を再現した薬剤テストを実現し、抗がん剤開発の成功率向上を目指す。

新設した共同ラボの様子とがん研究会の外観(出所:がん研究会、凸版印刷)
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 がんの診断や治療が日々進歩するなか、基礎研究分野ではがんと関係する遺伝子が解明・特定されつつある。また、1980年代に始まった分子生物学の分野でも、がんの発生、増殖、転移の仕組みなどが飛躍的に解明されている。しかし、がんの治療薬として研究・開発されている分子標的薬などの開発成功率は非常に低くなっている。その理由の1つとして挙げられるのが、従来の細胞培養による薬剤テストではヒトの臨床結果の予測が困難という点である。

 今回、がん研究会と凸版印刷は、従来の細胞培養よりもヒトの細胞の生育環境を生体に近づけた人工組織の構築と、それを活用した抗がん剤の評価を実現するために共同ラボを設立した。3D細胞培養技術を活用し、抗がん剤などの創薬基盤研究に寄与する人工細胞組織の生体模倣性の実証を目指す。研究テーマは「がん微小環境を再現する人工組織の構築」や「人工組織を用いた抗がん剤の効果の評価」を予定する。

3D細胞培養技術により作製した人工組織の標本切片。切片の免疫染色結果(左)と切片のHE染色結果(右)(出所:がん研究会、凸版印刷)
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 がん研究会は「がん克服をもって人類の福祉に貢献すること」を基本理念として掲げ、がんの診断・治療・予防に貢献するとともに、がんの本体解明研究を追求することで、世界最高レベルのがんの研究と診療を行う施設として認知されることを目指している。

 凸版印刷は、新たな成長領域の1つと位置付ける「健康・ライフサイエンス」分野の研究開発を総合研究所で進めている。その取り組みとして、大阪大学大学院工学研究科に「先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座」を2017年に設置し、3D細胞培養技術に関する基礎研究を同研究科の松崎典弥准教授と共同で行っている。

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