移動通信関連の業界団体であるGSMA(GSM Association)は2019年6月18日、コスト効率の良い5G開発を支援する「GSMA ベータラボ」の活動内容を同団体のWeサイトで披露した(GSMAのニュースリリース)。GSMA ベータラボは、2018年開催の「MWC Americas 2018」で活動を開始。様々な投資が必要となる5G開発について、新たなインフラの導入や既存基地局のアップグレード、周波数ライセンスの確保などの費用削減の面から支援する。2019年6月26日に中国・上海で開催される「MWC Shanghai 2019」ではイベントを実施する予定。

出所:GSMA
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 GSMA ベータラボは、通信事業者や機器ベンダーの5G開発をサポートするナレッジベースとして、主に次の4分野にフォーカスして情報を蓄積している。

  • インフラの共有:英国政府系機関CCS(Crown Commercial Service)とTelefonica UKが協力して実現したロンドンへのスモールセル設置例や、データーセンター設備の共有例がある。
ロンドン市内の28GHz帯を使ったスモールセル
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  • エネルギー効率化:NTTドコモが手掛ける太陽光パネルを使った基地局「Green Base station」のほか、基地局の効率的、合理的なコネクティビティー実現例などがある。
NTTドコモの「Green Base station」
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  • バックホールの軽減:ネットワーク通信量が比較的少ない時間帯の運用を効率化し、高速化、コスト削減化を図る、韓国SK Telecomの5G PON構想などがある。
SKテレコムの5G PON構想
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  • AIや自動化によるネットワーク効率化:中国Huawei Technologies(ファーウェイ)と南アフリカの通信事業者MTN South Africaが進めるPowerstarソリューションを使ったエネルギー消費量削減への取り組みなどがある。
Powerstarソリューションによる1週間のエネルギー消費量削減率
出所:GSMA
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5億ドル超の費用削減を実現

 GSMA ベータラボは、革新的な技術を持つ大小様々な規模の企業と世界規模の通信事業者をつなぐオンラインハブでもある。既に多くの企業が、この機能を利用して5G開発を進めている。こうして企業間の連携などを通して実現した事業者の5Gネットワークサービスをコスト効率の面から支援し評価する「Network Economic Model(NEM)」も用意。GSMAの検証によると、既に5億ドルを超える費用削減が実現できたという。

 同ラボは、国連の掲げる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)」も支援しており、目標7「全ての人に手頃で持続可能なクリーンエネルギーを提供(SDG 7)」、同12「持続可能な消費と生産のパターンを確保(SDG 12)」、同13「気候変動に具体的な対策をとる(SDG 13)」の3項目と、教育を受ける権利の支援も推進している。