富士経済(本社東京)は、中国の産業用ロボット市場を調査し、「急成長する中国新興ロボット関連プレーヤーの最新動向調査」にまとめた(ニュースリリース)。人手不足や賃金上昇への対応に加え、スマートフォンや自動車関連をはじめとした主要需要分野が好調なことから、今後も中長期的に市場が拡大する見込み。2025年の市場規模は、2018年比で2.7倍の9838億円と予測している(図)。

図:中国の産業用ロボット市場
(出所:富士経済)
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 調査では、ロボットを[1]組み立て・搬送系、[2]溶接・塗装系、[3]クリーン搬送系、[4]アクチュエーター系に分けて市場を分析するとともに、中国のロボットメーカー19社とロボット部材メーカー9社(減速機メーカー5社、サーボモーターメーカー2社、コントローラーメーカー2社)の動向を整理した。

 市場全体としては、2018年前半までは大きく成長していたものの、同年後半から設備投資が抑制され、伸びが鈍化した。しかし、2019年後半には設備投資が回復し、市場も堅調に拡大する予想だ。従来は、主に自動車の製造に使われる[2]が市場をけん引してきたが、人手不足や人件費の高騰を背景にそれ以外の用途でもロボットの需要が増えており、近年は[1]が伸びている。

 [1]は、2017年はスマートフォン関連で需要が増えたが、2018年はその需要が減少したのに加え、米中貿易摩擦によって設備投資が控えられ、市場の伸びが鈍化した。比較的好調だったのは水平多関節ロボットで、中国メーカーも競争力を高めているという。

 2019年には貿易摩擦の影響緩和が期待でき、底堅い自動化ニーズによって市場の成長が見込まれるとする。水平多関節ロボットや小型の垂直多関節ロボットなどがけん引すると予想している。

 [2]は主に自動車・自動車部品の生産ラインで採用され、ロボット市場の拡大をけん引してきた。2018年は規制強化や貿易摩擦の影響で自動車の生産が低迷したのに伴い、市場の伸びも鈍化。しかし、2019年以降は電気自動車など向けの設備投資の増加を背景に堅調な需要が見込める。

 [3]では、ガラス基板搬送ロボットとウエハ搬送ロボットを対象に調査した。前者の市場は2018年、現地のFPD(フラットパネルディスプレー)メーカーの設備投資が停滞したため縮小した。FPDの供給が過多な上、有機ELの低コスト化が進んでいないことから、当面は設備投資が控えられる見通し。市場の本格的な回復は2021年以降になると見込んでいる。後者については、2018年後半に急速に需要が落ち込んでおり、2019年末頃から回復するとの予想だ。

 [4]の市場は2017年に大幅に伸びたものの、2018年後半にはスマートフォン関連の設備投資の縮小や貿易摩擦の影響で需要が急速に落ち込んだ。だが、2019年以降はスマートフォン関連の潜在案件や貿易摩擦の影響緩和が期待されており、堅調に伸びると予測する。