日本アビオニクスは、ファイバーレーザー発振器やガルバノスキャナー、同軸カメラなどをパッケージ化し、「ファイバレーザ溶接システム」として発売した(ニュースリリース)。熱伝導率と反射率の高い銅(Cu)やアルミニウム(Al)合金などの金属材料を、非接触かつ高精度に接合できるとする。

 新システムは[1]シングルモードファイバーレーザー溶接機、[2]ガルバノスキャナーとコントローラー、[3]同軸カメラ、[4]チラーユニットから成る(図1、2)。システム化することで省スペース化すると同時に、価格を従来比で2/3に抑えられたという。

図1:レーザー発振機(左)とチラーユニット(右)
(出所:日本アビオニクス)
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図2:ガルバノスキャナー(右)とコントローラー(左)
(出所:日本アビオニクス)
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 [1]は、波長1070nmの発振器と昇圧トランスを組み合わせたもの。出力するレーザーは光の広がりを抑え、照射距離が長くても細いビーム径を維持して高いエネルギー密度で照射できるのが特徴。熱影響の少ない微小スポット溶接が可能とする。ワークディスタンスは374mmで、溶接エリアは150×150mmに対応している。

[2]のガルバのスキャナーの最高スキャン速度は2000mm/秒。溶接ビードと溶接スピードを制御してワークのクラックやスパッターを低減しながら、広い範囲にわたって安定した溶接を実現できるという(図3)。接合ポイントを高速で走査することにより、熱ひずみと周辺へ与える熱損傷を抑える。デジタル制御により、温度変化に伴う位置ドリフト(ズレ)も抑制できる。

図3:高速多点溶接の例
50×50mmの材料を121の溶接ポイントで接合するのにかかる時間は約1.3秒だった。(出所:日本アビオニクス)
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 レーザーを波形制御しながら高速走査できるため、シーム溶接などの封止溶接にも対応する。さらに[1]の細く深い溶け込みと[2]のスパイラル(うず巻き)やサーキュラー(円弧を描きながらの横移動)の走査を組み合わせれば、ビード幅を最適化でき、接合強度を高められる(図4)。

図4:スパイラル溶接(左)とサーキュラー溶接(右)の例
(出所:日本アビオニクス)
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 [3]の同軸カメラによってティーチングやポジションの確認、接合時の溶接状態を観察できるので、条件設定をしやすくなる上、加工品質の向上も図れる。[4]のチラーユニットにより[1]の発振効率の最大化と安定化が可能とする。

 レーザー出力が500/1000/1500Wの「LW-S500/1000/1500」を用意しており、自動車向け電子部品や2次電池、燃料電池の製造工程の他、情報機器や医療、エネルギーなどの分野での利用を狙う。[1]の外形寸法(幅×奥行き×高さ)は751×983×499mm、質量は155~165kg。[2]のガルバノスキャナーヘッドの外形寸法と質量は150×440×250mmと11kg、コントロールボックスは300×310×123mmと7kgで、[4]は400×850×966~530×970×1080mmと100~140kgである。