情報・システム研究機構の統計数理研究所(以下ISM)と三菱ケミカル(本社東京、以下MCC)は、2019年10月に共同研究部門「ISM-MCCフロンティア材料設計研究拠点」を設置すると合意した(ニュースリリース)。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の新たな基盤技術を構築するのが目的。同部門で構築したアルゴリズムを外部に発信し、MI分野におけるオープンイノベーションやオープンサイエンスを促進する。

図:マテリアルズ・インフォマティクスイメージ(出所:統計数理研究所、三菱マテリアル)
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 MIは、データ科学による解析技術と計算化学による予測技術を融合して新規の物質を探索する手法(図)。一般にデータ科学に基づく物質探査では、入力されたデータとの類似性から物性を予測するため、入力データに類似した範囲でしか物質を探査できない。計算化学を用いれば、既存データの有無とは関係なく、まだ現実には作成されていない材料の性質を予測できる。

 ISMは、統計科学とそれに関連した数理科学の研究機関。MCCは、多種多様な素材を扱う化学企業として、実験化学と計算化学の両面からのアプローチによる材料設計技術を蓄積してきた。

 新部門では、両者の強みであるデータ科学技術と計算化学技術を融合して、既存データには含まれない革新的な特性を有する材料を見出すためのアルゴリズムを構築。高分子や触媒、無機材料といった具体的な材料設計課題に適用しながら、アルゴリズムの高度化を図る。

 研究には、両者の研究員に加えて、MCCの親会社である三菱ケミカルホールディングス(HD)のデータサイエンティストも参加する予定だ。三菱ケミカルHDでは2018年6月、デジタル変革を推進する「先端技術・事業開発室デジタル・トランスフォーメーショングループ」内に「マテリアルズ・インフォマティクスCoE(Center of Excellence)」が発足(2018年6月27日付ニュースリリース)。MI技術の積極的な活用を推進している。