楽天モバイルは2019年6月5日、5G(第5世代移動通信システム)の基地局に設置する無線機ベンダーとしてNECを選定したと発表した。機器が小型軽量で、基地局での設置スペース確保などを含めて他社製品よりもトータルコストを抑えられる点や、大容量アンテナの技術などを評価したという。NECは楽天が構築する仮想化技術を使った基幹網にも協力ベンダーの1社として参加する。

 NECが供給するのは、楽天が5Gで割り当てを受けた周波数のうち、3.7ギガヘルツ帯の無線機。ベースバンドのデジタル信号を高周波に変換する無線機能と「Massive MIMO」と呼ぶ大容量アンテナ素子を一体化した装置である。楽天は28ギガヘルツ帯も割り当てを受けているが、こちらの無線機は改めてベンダーを選定する予定である。

NECが試作した5G向け無線機(4.5ギガヘルツ帯向け)。楽天向けは現在開発中だが、同種の技術が使われる予定だ
出典:NEC
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 NECは無線機の供給に加え、無線機の裏側で大容量データを伝送・交換する携帯電話の基幹網(コアネットワーク)構築にも協力する。楽天は2019年10月に参入する4G網の段階から、「オープンvRAN(仮想化無線アクセス網)」と呼ぶ仮想化を用いたソフトウエア技術を導入する計画を発表済みだ。携帯電話事業者としては初めて、無線機などハードウエア処理が必要な設備を除いたコアネットワークすべてを仮想化し、低コスト化を推し進める。

 主要ベンダーは楽天が資本提携した米アルティオスターネットワークス(Altiostar Networks)のほか米シスコシステムズ(Cisco Systems)など海外勢が中心だが、NECも4Gの段階から網設計などで構築に参画するという。NECは4G向けで顧客管理や課金などを担うビジネス支援システム(BSS)や運用支援システム(OSS)も楽天から受注しており、5G向けも含めて楽天の携帯電話事業立ち上げに参画する主要ベンダーの1社になったといえる。

 NECはNTTドコモ向けでも、5G用の基地局設備で富士通などと並ぶ有力ベンダーになっている。世界シェアでは海外勢に後れを取るが、国内の5G商戦の序盤としては成果を挙げつつある。