日立製作所は、中国江蘇省徐州市の中固病院管理(徐州)有限公司から、1つの加速器で陽子線と重粒子線を照射できるがん治療システム一式を受注し、2019年5月29日に契約を締結したと発表した。複数の線種を用いた粒子線がん治療システムの海外受注は、日立として初となる。

調印式の様子(出所:日立製作所)
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 今回のがん治療システムは、陽子線による治療を行う360度回転ガントリ治療室1室と、重粒子線による治療を行う固定照射治療室3室の計4室を備える。呼吸に伴って移動する臓器の動きを捉える動体追跡技術と、腫瘍の形状に合わせて粒子線を照射できるスキャニング照射技術も搭載する。これにより患者の症状や部位に合わせた柔軟な治療が可能になるとする。

 併せて受注した治療計画ソフトウェアは、患部の画像情報をもとに腫瘍の形状を把握し、それに適した照射線量を計算して患者ごとの治療計画を作成する。これらのシステム一式は、中固病院管理(徐州)有限公司が徐州市に2019年中に建設を開始する粒子線総合病院センターに設置される。

 粒子線がん治療は、放射線によるがん治療法の1つ。水素の原子核や炭素イオンを加速器で光速の約70%に加速させ、腫瘍に集中して照射することでがんを治療する。水素の原子核を加速したものを陽子線、炭素イオンを加速したものを重粒子線と呼ぶ。治療に伴う痛みがほとんどなく、他の放射線治療に比べて副作用が少ないのが特徴。治療と社会生活の両立が可能であることから、生活の質(QoL:Quality of Life)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法として注目されている。