三井住友建設は、IoT(Internet of Things)で生産ラインの稼働状況や生産実績を可視化するシステム「PATRAC-PM」(パトラック-ピーエム:Precast Automatic TRACing system-Production Management)を開発した。グループ会社のSMCプレコンクリート(本社東京)が茨城工場(茨城県常総市)に新システムを導入、超高層マンションなどで使われるプレキャスト(PCa)部材の生産に利用する(図1ニュースリリース)。三井住友建設は、生産状況の可視化やデータの集計・蓄積を通して製造プロセスを見える化し、その最適化を図る(図2)。

図1:「PATRAC-PM」を導入したSMCプレコンクリートの茨城工場
(出所:三井住友建設)
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図2:PATRAC-PMのイメージ
(出所:三井住友建設)
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 新システムは、Bluetoothを利用して電波の到達角度からリアルタイムに測位する技術「Quuppa Intelligent Locating System」(フィンランドQuuppa Oy)によってデータを取得する。具体的には、工場建屋の天井に「Locator」と呼ばれる受信装置を、作業者のヘルメットやクレーンなどの測位対象にタグ「BLE」(Bluetooth Low Energy)を取り付けて、各工程における部材ごとの作業時間や作業員ごとの移動履歴といった情報を集める。データ収集の頻度は1秒間隔、位置の誤差は50cm程度という。

 PCa部材の完成後、集めたデータをBIツールで自動集計し、画面に表示すると同時に生産実績として蓄積していく。これにより、作業ごとのミクロな状況から工場全体のマクロな生産状況までの評価、見直しが容易になるという。

 日々の生産実績を数値化・グラフ化することで、作業の効率化や労務の平準化、生産性向上のための各種分析が容易になる。製造日時や担当したライン・作業者、部材種別といった影響因子ごとに製造にかかった時間などを絞り込み、生産改善が可能なポイントの抽出に活用する。

 三井住友建設は、PCa工場における品質と生産性の向上を目指して、建築計画から製造、物流、施工までを一元管理するシステム「PATRAC」の開発に取り組む(図3)。その第1弾として2018年12月、製造から出荷までのトレーサビリティーを管理するシステム「同DL(DeLivery)」を発表している(2018年12月18日付ニュースリリース)。

図3:「PATRAC」と「同DL」のイメージ
(出所:三井住友建設)
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