政府の有識者会合は2019年5月21日、個人データの利活用や官民のデータ連携を促すための政策提言をまとめた。日本でこれから実用化が始まる「情報銀行」や「データ取引市場」を普及させるため、実証実験を通じてサービス構成やデータ形式を標準化すべきだと提言。さらに企業が産業データを流通させるモデルケース作りも求めた。

 提言は政府のIT政策を統括する高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の下にある有識者会合「データ流通・活用ワーキンググループ(WG)」が議論した。今回の政策提言では最後となる集まりで、2019年5月中にも最終報告を公表する。全体では官民のデータ連携や個人が安心してデータを提供できる環境作りに注力した内容になっている。「GAFA」をはじめとするプラットフォーマーがデータ活用で主導権を握る米国と異なり、官民が協調する日本型のデータ活用モデルを確立する狙いだ。

2019年5月21日に開催されたIT総合戦略本部のデータ流通・活用ワーキンググループ(WG)。
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 同日の取りまとめ案では、情報銀行やデータ取引市場でデータの相互運用性を高めるほか、預けた情報を別の事業者に容易に移転できる「データポータビリティー」を確保するため、実証実験を通じてサービスのアーキテクチャーを定義してデータ構造を標準化することを提言した。情報銀行とは、個人がどの企業にどう利用させるかを決めたうえで自分でデータを預けると、データを活用した企業が「利子」として個人にメリットのあるサービスなどを返す枠組みを指す。

 さらに個人から円滑に同意の可否が取れるよう、同意の取り方といった運営手法にも一定のガイドラインを定めるよう求めた。個人にとって分かりやすくかつ安心して同意の可否を判断できる環境を作る狙いだ。

 企業が共有に後ろ向きとされる産業データの企業関連携も促す。参加企業に恩恵をもたらすインセンティブの設計や企業が協力しやすい協調領域の設定が重要だとして、具体的な産業分野でモデルケースの設計を検討するよう求めた。報告書のとりまとめを受けて、2019年度から2020年度にかけて具体的な標準化や実証実験が始まりそうだ。