欧州の地理情報大手ヒア・テクノロジーズ(HERE Technologies)は2019年5月15日、同社の地理情報プラットフォームサービスの日本地域版を2019年第2四半期末(6月末)までに提供すると発表した。同社が日本で地理情報サービスを提供するのは初めて。人口動態や気象などのデータを持つ日本企業にもプラットフォームを通じたデータ提供を呼びかけ、自動車産業のほか、農業や都市計画など幅広い用途で需要を開拓する考えだ。

 ヒアが提供するのは、地理情報に交通情報や気象、人口動態、植生など様々なデータを階層化して統合できる仕組みを備えた業務向けクラウドサービス「HERE Open Location Platform(OLP)」。2017年に業務提携したパイオニア子会社のインクリメントPが持つ日本の地図データを取り込み日本地域版の開発を進めており、6月末までのサービス提供にメドを付けた。

日本参入を発表したヒア・テクノロジーズのエザード・オーバービークCEO(最高経営責任者)
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 来日したヒアのエザード・オーバービークCEO(最高経営責任者)は、OLPの特徴を「業界横断でのデータ相互利用を支援する、オープンかつ中立なプラットフォームだ」と説明。利用企業が保有データをOLPに乗せることで、外部企業にデータを販売できるマーケットプレイス機能を利用できる。

 各企業が自らの判断でデータを社内利用に制限できるなど、データの提供範囲を柔軟に制御できる点を訴求した。データの販売は自社データ単体のほか、ヒアが提供するデータとかけ合わせて解析した成果物も各企業が自由に販売できるなど、さまざまな方法で収益化を支援するという。

 OLPは既に欧州や北米、南米、アジアの主要地域や太平洋地域などで提供済み。中国では現地企業との協業で2018年12月に提供を始めており、今回の日本版提供でほぼ全世界をカバーするという。

 ヒアが提供する地図データは自動運転車やライドシェアといったMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)に不可欠だ。蘭トムトム(TomTom)と米グーグルを含めた3強が自動車業界との協業でしのぎを削っているほか、トヨタ自動車や官民ファンドのINCJらが出資しているダイナミックマップ基盤も作成に乗り出している。最大手の日本進出でMaaS時代の基盤作りを巡る競争が激化しそうだ。

 ヒアのオーバービークCEOは、他社について「最大の競争相手は米グーグルだが、トヨタとは地図データでこれまでも協業している。高精度地図についてもトヨタと協業できないか、今回の来日でも会合を持つ予定だ」と語った。

 ヒアはフィンランドのノキア(Nokia)傘下を経て現在はダイムラー(Daimler)とBMW、アウディ(Audi)の独自動車大手3社が主要株主になっている。本社はオランダ・アムステルダムにある。