ソフトバンクは2019年4月25日、高度2万メートルの成層圏を飛行する無人航空機を通信基地局として運用する「成層圏通信プラットフォーム事業」を開始すると発表した。米グーグル(Google)系の米ルーン(Loon)に出資して技術提供を受けるほか、米エアロバイロンメント(AeroVironment)と共同開発した無人航空機の運用を2023年に始める。

HAPSモバイルの無人航空機「HAWK30」の40分の1模型
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 成層圏に通信基地局を整備する取り組みは一般に「HAPS(High Altitude Platform Station)」と呼ばれる。ソフトバンクは2017年12月に、軍用ドローンの開発・製造で実績があるエアロバイロンメントと合弁でHAPSモバイルを設立。HAPS用の無人航空機「HAWK30(ホーク30)」の開発を進めてきた。今回、ルーンとの提携とHAWK30の完成を受けて、HAPS事業の計画を発表した。

 HAPSは、基地局を整備しづらい地上のへき地などを、上空2万メートルの基地局からカバーする仕組み。ソフトバンクの副社長兼CTO(最高技術責任者)でHAPSモバイルの社長兼CEO(最高経営責任者)を兼務する宮川潤一氏は記者会見で「まだインターネットに接続できない人類の半数、37憶人にインターネット接続を提供するのがHAPSだ」と説明する。地上の基地局からではカバーが難しかった航空機やドローンなどにも通信を提供する。

ソフトバンクの宮川潤一副社長兼CTO
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 エアロバイロンメントが中心となって開発したHAWK30は、横幅78メートルの巨大なプロペラ機だ。太陽光発電によってプロペラや基地局を駆動し、6カ月連続で飛行する。半径100キロの範囲に通信サービスを提供可能で、利用者は既存のスマートフォンが利用できる。型式証明や耐空証明などを取得した後、2023年から実際に運用する。ただしHAWK30は太陽光発電の出力が大きくなる赤道直下から北緯・南緯30度までの範囲でしか運用できない。そのためサービスの提供地域は当初、アフリカや中南米、東南アジアなどに限定される。

 HAPSモバイルと提携するルーンは、グーグルの親会社である米アルファベット(Alphabet)が2018年に研究開発部門である「X」から事業会社として独立させた。HAPSモバイルはルーンに1億2500万ドルを出資し、ルーンの気球を使ってHAPS事業を展開したり、ルーンが開発したHAPS用のSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーク)や機体管理システムなどの提供を受けたりする。