ファナックとPreferred Networks(本社東京、以下PFN)は人工知能(AI)の新機能として、深層学習を活用して工作機械の異常の兆候を捉える「AIサーボモニタ」と、機械学習を用いて対象物(ワーク)を検査する「AI良否判定機能」の2種類を開発した(ニュースリリース)。それぞれ、2019年7月と翌8月から提供する。これらによる予防保全と異常検知で、「止まらない工場」を目指せるとしている。

 新機能のうちサーボモニタは、工作機械の送り軸や主軸の制御データを高速でサンプリングし、深層学習によってそれらの異常度を提示する(図1、2)。送り軸や主軸の突然の故障に起因する機械停止を防止し、加工ラインが長時間にわたって止まるのを防ぐ。

図1:「AIサーボモニタ」の概要
(出所:ファナック、Preferred Networks)
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図2:機械の状態監視例
(出所:ファナック、Preferred Networks)
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 具体的には、正常動作中のモーターのトルクデータを入力として学習し、その特徴量を抽出。それを基に、正常な状態を表した学習モデルを作成する。その後、実稼働中に得られるトルクデータを入力として正常な状態と比べ、異常度を算出。機械のオペレーターは、異常度の監視を通して送り軸・主軸の異常の兆候を把握できる。

 一方の良否判定機能では、ロボットがワークのOK/NG画像に基づいて良否を判定する(図3)。ナットが溶接されているか、部品が組み付けられているか、部品の表裏が正しく組み付けられているか、といった生産工程での確認作業を、ロボットのコントローラーに内蔵されたビジョン機能で実現する。

図3:「AI良否判定機能」の概要
(出所:ファナック、Preferred Networks)
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 同機能は、ワークの形状と位置を見つけるのではなく、機械学習を用いて画像から良否だけを判定する。このため、ワークの周辺に溶接スパッターが残っていたり、金属の反射によるハレーションが起きたりしても、影響を受けにくいという。

 従来のビジョン機能で部品の組み付け結果を確認する場合は、あらかじめ教えた部品の形状・位置情報を基に、検出できればワークがあると判断し、検出できなければワークがないと見なす。この手法では、ワークの周辺状況やハレーションの状況によってはワークを見つけにくく、実際にはワークがあっても「NG」と判定する恐れがある。そのため、ビジョンの設定に熟練を要していた。