マダホールディングス(HD)と日立製作所は、IoT(Internet of Things)を活用する生産システムを開発した(ニュースリリース)。2020年4月までにアマダ(本社神奈川県伊勢原市)の富士宮事業所(静岡県富士宮市)と土岐事業所(岐阜県土岐市)において、組立手順などを表示するシステムや生産計画立案の自動化システムなどを構築(図1)。個人の能力に依存せず、多様な人材が働きやすい製造現場を目指す。

図1:富士宮事業所のシステム構想図
(出所:アマダHD、日立製作所)
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 アマダHDと日立はシステムの第1弾として、富士宮事業所でレーザー加工機の基幹モジュールを組み立てるブースに「組立ナビゲーションシステム」を構築(図2)。2019年2月から稼働させている。同システムは、組立手順やその工程で使う部品・ボルト類を3Dで案内表示する。作業者が作業完了の旨をワイヤレスマイクに向かって話すと、固定カメラでモジュールを撮影して解析し、作業工数や進捗を確認した上で記録する。

図2:富士宮事業所で構築した「組立ナビゲーションシステム」
(出所:アマダHD、日立製作所)
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 3Dによる案内表示機能は、アマダが以前から利用していたシステムを拡充した。音声入力と画像解析については、日立のIoT基盤「Lumada」の技術を用いてアマダグループと日立が共同で実現した。これらの機能により、個人のスキルに頼ることなく均一な品質での組立作業が可能になるという。

 第2弾は、製品の仕様や納期、工場の生産能力などを分析して最適な生産日程を立案する「生産日程計画自動立案システム」。日立の大みか事業所(茨城県日立市)で利用している生産計画の自動立案システム「工場シミュレーター」をベースに開発した。

 アマダは板金加工機械を変種変量生産していて、生産計画には常に変更が生じる。そのため熟練者が毎月、多大な労力と時間をかけて生産計画を策定しており、人手への依存が課題になっていたという。生産日程計画自動立案システムの活用で、立案にかかる工数を従来の約1/5に減らす目標だ。

 さらに第3弾として、製造現場の4M(Man、Machine、Material、Method)データを用いた「製造ダッシュボード」を導入する。工場管理者層や生産ライン監督者層といった職務階層ごとに、生産性向上のための施策検討時に有用となるKPI(Key Performance Indicator)を時系列でグラフ表示し、工場のムダを見える化する。

 KPIとしては、部品の供給状況や設備の稼働状況、人の作業効率などを設定できる。全体最適化の観点で、状況の把握から課題抽出、評価分析、改善のサイクルを迅速に回せるとしている。

 アマダは富士宮・土岐事業所において、生産日程計画自動立案システムと製造ダッシュボードを2020年度から稼働させる予定だ。アマダグループは、これらのシステムの導入などによって、年齢や性別、国籍を問わず誰もが働きやすい製造現場づくりを推進。両事業所における人材の多様化比率を3倍にするとともに、生産性の30%向上を目指す。2021年度までには同グループの国内外の拠点に今回開発したシステムを展開する計画という。

 アマダグループと日立は2018年6月、富士宮事業所において、IoTを活用して生産からバリューチェーン全体までを最適化する取り組みを開始(2018年6月1日付ニュースリリース)。今回、その成果として組立ナビゲーションシステムなどを実現した。