新社長就任はいつどんな形でどのように伝えられたのか。その時、どのように思ったか。

時田氏 話を持ち掛けられた時期については、発言を控える。山本(正已取締役)会長同席で、指名委員会の小島(和人)委員長から指名を受けた。

 もちろん、聞いた瞬間は驚いた。ただ、迷いながらも話の最中で覚悟を決めた。「期待に応えたい」とその場で回答した。

時田新社長は、大規模プロジェクトを率いた経験の持ち主。しかし、今後の富士通は大規模であるかどうかよりも、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援できることが重要になる。この点に関してどう考えるか。

時田氏 大規模プロジェクトも経験したが、金融機関のビジネスの移り変わりと、ITシステムの変遷をすぐ近くで見てきた。例えば、昔はバックエンドのバッチシステムに価値があったが、今は顧客接点のフロントシステムが重要になってきている。

 金融機関は決済基盤としてさまざまな業種の企業と関わりがあるため、金融以外の企業のITシステムやビジネスを見てきた。こうした経験は生きると考える。

グローバルで富士通の存在感をどう上げていくのか。これまでは米IBMのビジネスモデルを後追いしてきたと思うが、今、技術的に影響力を持つのはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)だ。このような状況で、富士通はグローバル市場に対して何を強みにしていくのか。

時田氏 富士通のグローバル事業の強みはハードウエアだった。サービス事業もITインフラのマネジメントが中心だ。ただ、この領域は極めて価格競争が激しい。大変苦戦している。

 今後は強みを変えていかなければならないと感じている。製品ビジネスの比率を徐々に下げ、サービスの比率を高めたい。

 サービス比率を高めるために必要になるのが、お客様の業務を理解することだ。日本では、現場のSEがお客様に近いところにいて業務知識を習得してきた。このノウハウをグローバルに展開できるよう、社内に組織的なメカニズムを作っていきたい。

事業の選択と集中を進めてきた。このまま進めるのか。人員(削減)について考えはあるか。

時田氏 形を変えるという命題の下、事業構造を変革してきた。これは時代の変化、競争関係、お客様のニーズの変化を捉えた結果だ。今後も、必要に応じて事業構造の変更を進めるつもりだ。

 その中で、人員(削減)に手を付けることもあるかもしれないが、現時点で考えはない。

久しぶりにSE出身の社長が誕生した。SI部門をどう変えるか、その意気込みを聞かせてほしい。

時田氏 入社以降、SIソリューション部門に一貫して所属していたが、部門名称は何度も変わってきた。これは、ビジネスそのものやお客様の要請が変わってきたことを意味している。

 デジタル化の時代、自前のプロダクトやサービスを提供するだけでは不十分だ。社内だけではなく、お客様、他のサービスベンダーと協業することが求められている。その旗振り役を期待され、私が社長に指名されたと考えている。

田中社長は人材の配置転換を進めてきた。最適配置のめどがたったから社長交代を決めたのか。

田中氏 指摘の通り、人材については適材適所への配置転換を進めてきた。サービスオリエンテッドカンパニーになるためには、まだまだ社内での人材ミスマッチが残っていると感じていたからだ。

 社員自身が能力を生かす職場へ、本人の意向を聞きながら配置転換を実施し、そのプロジェクトは終わった。

 しかし、そのことは社長交代を決めたこととは直接関係はない。社長交代の時期は自分が社長に就任したときからずっと考えてきたこと。適切なタイミングだと判断したので、今回の発表に至った。