「非常にパワフルな人物」。富士通の田中達也社長は2019年3月28日、都内で開いた記者会見で、次期社長に内定した時田隆仁執行役員副社長についてこう語った。記者会見での主な一問一答は以下の通り。

今、富士通で一番の課題は何か。田中社長が時田新社長にやり遂げてほしいと思うことは何か。

田中氏 富士通には優秀な人材や優れた技術力、ノウハウがたくさんあるが、それらをうまく統合してシナジー(相乗効果)を出す必要がある。私自身ずっと感じてきた課題であり、解決に取り組んできたものだが、新社長にも継続してもらうよう期待したい。

富士通の田中達也社長

 そのことが、当社の成長につながるはずだ。新社長は非常にパワフルな人物。やってくれると信じている。

 もう1つの課題がグローバル化だ。こちらも長年取り組んできたが、グローバルでの存在感をもっと高めたい。時田新社長は英国のロンドンに在住していた経験の持ち主。期待している。

時田新社長が最優先で取り組みたいことは何か。

時田氏 田中社長の発言の通り、富士通には優秀な人材や技術、アイデアはたくさんあるが、それらを結集することがなかなかできていない。

 長年、お客様に寄り添って要望通りのソリューションを提供してきたが、その半面、進んで提案することが不得意になってしまった部分が否めない。社内の異なる部門の強みを結びつける「横の連携」を可能にするメカニズムを構築していきたい。

富士通の次期社長に内定した時田隆仁執行役員副社長

 グローバル事業についても同様だ。横の連携が足りない。各拠点が個別に活動するのではなく、各拠点の知見を結集してサービスを作るようなメカニズムが必要だと感じている。

田中社長は2022年度にテクノロジーソリューション分野で営業利益率10%を達成すると繰り返してきた。道半ばでの交代となる。反省点はどこか。

田中氏 富士通の人材や技術をグローバルに戦うほど統合できなかった。テクノロジーソリューション分野に経営リソースを集中させたが、ワンステップ上に登ることができなかった。

社長交代の時期はなぜ今だったのか。変革の成果を見てからでも良かったのではないか。

田中氏 確かに自分で変革を見届けたいという気持ちもある。しかし、私の策定した経営計画は2022年。その途中で中途半端に退任するよりも、今の時点で思い切って新体制に引き継いだほうが良いと考えた。自分としては納得感のあるタイミングだと考えている。

田中社長は時田新社長を「非常にパワフルな人物」と評していた。そのことを示すエピソードはあるか。

田中氏 時田新社長は金融業界で多くの大規模プロジェクトを経験した。プロジェクトには、山も谷もあったと思うが、困難に動じず、自分のビジョンを持って部下を牽引(けんいん)してきた。その力強い姿を見てきたので、富士通の変革を成し遂げるのにふさわしい人材だと考えている。

時田氏 思い出深い仕事としては、1つは大手生命保険の営業変革プロジェクト。営業担当者をITの力で強化する業務変革を支援した。このとき、SEだけではなく、PC部門やソフトウエア部門、ネットワーク部門など、社内の複数部門の力を結集する重要性を学んだ。

 このほか、メガバンクのシステムトラブルも印象に残っている。精神面を鍛えられた。