インターステラテクノロジズ(本社北海道大樹町、以下IST)は、開発中の衛星軌道投入ロケット「ZERO」を活用した宇宙輸送事業の実現を支援する組織「みんなのロケットパートナーズ」(略称:みんロケ)を立ち上げた(ニュースリリース)。丸紅と大樹町、レオス・キャピタルワークス(本社東京)、日本創成投資(同)、キャステム(本社広島県福山市)、ユーグレナ(本社東京)、バスキュール(同)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の8企業・団体が技術や知見を持ち寄り、ZEROの開発を加速させる。2023年中の初号機を打ち上げを目指す。

図:衛星軌道投入ロケット「ZERO」の完成イメージ
(出所:インターステラテクノロジズ)
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 ZEROは、100kg以内の超小型人工衛星を地球周回軌道(低軌道)に投入するロケットだ(図)。全長は22mで全備質量は35t。同社が打ち上げ実験を重ねている小型観測ロケット「MOMO」と比べると、機体質量は約30倍、エンジン出力は約50倍と大きい。

 現在は基本設計段階にあり、今後、エンジンや機体の試作、試験、改良などの段階を踏んでいく。商用化を見据え、搭載する衛星の仕様に応じたカスタマイズをしやすくするとともに、液体燃料エンジンを採用してコスト低減を図る。商用化時には、打ち上げ1回当たりの費用を6億円以下に抑えることを想定している。

 既に開発完了段階にあるMOMOに比べて、ZEROの開発は難易度は高い。同社は、ミッションとして掲げる「従来よりも低コストかつ高頻度で超小型衛星を打ち上げられる宇宙輸送事業の実現」を確実に達成するには、ロケット開発に必要な設計・製造・運用・営業領域に知見を持ち、ミッションの重要性を共有できる企業・団体の支援が必要と判断し、みんロケを設立した。

 パートナーとして名乗りを上げた8企業・団体のうち丸紅とは、観測ロケットと衛星軌道投入ロケットの販売促進を目的として、販売先の紹介から斡旋、契約締結までを仲介する委託業務契約を交わした。加えて、ISTが丸紅から調査研究業務を受託するなど、宇宙輸送事業の実現に向けて連携している(関連記事)。新組織の発足により、販売促進での連携を強化する。

 ISTの本社所在地である大樹町は「宇宙のまちづくり」を掲げ、これまでも工場やロケット射場などの建設で同社を支援してきた。今後は大樹町多目的航空公園機能拡充計画と連携しながら、衛星軌道投入ロケット用の射場の整備や、ロケットの打上見学場の整備などを進めていく。

 キャステムは従来、ISTのロケットのプロトタイプに向けて鋳造部品を製造している。衛星軌道投入ロケットの開発においては、ロケットエンジンのターボポンプなどに一層精密な部品が求められる。キャステムは、これらの試作や、打上機に搭載される金属部品の鋳造でサポートする。

 ISTはZEROで使用する液体燃料について、性能やコスト、環境負荷といった観点から検討している。ユーグレナはバイオ燃料の事業化に取り組んでおり、同社が生産を予定しているバイオ燃料のロケットへの採用に向けて、ISTと共同で検討を進める。