日本航空(JAL)は2019年3月19日、旅行会社向け予約システム(GDS)事業大手の英トラベルポート(Travelport)と共同出資会社を設立すると発表した。JALの子会社が展開するGDS事業を新会社の傘下へ移し、新機能・サービスの導入をしやすくして生き残りを図る。これによりJALのGDS子会社はJALの連結対象から外れることになる。

共同出資会社の設立会見で握手を交わすJALの柏頼之執行役員国際旅客販売本部長(左)と英トラベルポートのスティーブン・シュロック・チーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)
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 共同出資会社は2019年6月1日に設立予定で社名は未定。資本金は非開示だがトラベルポートが66.6%、JALが33.4%出資する。JALのGDS子会社であるアクセス国際ネットワークとトラベルポートの日本法人の2社を、それぞれ新会社の100%子会社とし、その後2019年後半をめどに2社を合併させる。

 アクセス国際ネットワークは国内の旅行会社向けに、航空券やホテル、レンタカーなどを予約できるGDS「AXESS」を提供している。AXESSは「日本で一番多く使われているGDSであり、旅行会社のスタッフも操作に習熟している」(JALの柏頼之執行役員国際旅客販売本部長)。

 一方で世界ではスペインのアマデウスITグループ(Amadeus IT Group)、米セーバー(Sabre)、トラベルポートなどの大手が提供するGDSが市場の大半を握っている。「世界のGDS大手が大規模なシステム投資により新サービスを展開するなか、AXESSをどうすれば使いやすいサービスにできるかという観点で今後の戦略を検討した」(柏執行役員)。2012年に稼働したAXESSの現行バージョンはトラベルポートのシステムをベースとして構築している経緯もあり、JALグループ内でシステム投資を続けるよりトラベルポートとの協業関係を強化するほうが得策と判断。1年以上前からトラベルポートと共同出資会社の設立について協議してきたという。

 AXESSのサービス自体の今後については「AXESSをトラベルポート側のシステムに統合するより、国内の旅行会社に広く普及しているAXESSのフロントエンドをそのまま維持しつつ、他のシステムとの連携機能を追加することが最善だと考えている」(柏執行役員)として、当面は縮小・廃止やトラベルポート側システムへの統合をせず存続させる方針を表明。ただし中長期的には「バージョンアップをしていくうえでいずれ統合の可能性もある」(柏執行役員)と含みを残した。

 今後のAXESSへのシステム投資は「基本的にトラベルポートが責任を持って実施することになる」(柏執行役員)。手始めに共同出資会社の設立と併せて「AXESSの画面からトラベルポートが運営するGDS『Apollo』『Galileo』への接続や、AXESSと欧州SAP傘下の経費精算クラウドサービス『Concur』の接続を近く可能にする」(柏執行役員)予定だ。

 その後は国際航空運送協会(IATA)が推進している航空券の新規格であるNDC(New Distribution Capability)への対応や、オンプレミス環境で運営しているAXESSのクラウド化、モバイル端末への対応強化などを進める。「トラベルポートがAXESSのクラウド化を進めていくと聞いており、実現すればレスポンスがだいぶ速くなるだろう」(柏執行役員)としている。

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記事公開当初、6段落目に誤解を招く表現がありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/03/29 11:50]