帝人は2019年4月、航空宇宙分野に向けて熱硬化プリプレグを製造・販売する米レネゲード(Renegade Materials)の全株式を取得し、完全子会社とする(ニュースリリース)。これにより帝人は、炭素繊維の中間材料事業をグローバルで拡大するとともに、炭素繊維の用途開発を推進する。

 レネゲードは、耐熱性の高い熱硬化プリプレグの他、樹脂や接着剤などを製造・販売しており、耐熱性樹脂についてのノウハウが豊富だという。特に、低毒性原料を用いたポリイミド樹脂を使って耐熱性と熱サイクル特性に優れるプリプレグを製造できるのが強みとする。1993年創立の樹脂メーカーを母体として2007年に設立されて以降、欧米をはじめとする地域で航空機メーカーや航空機エンジン関連メーカーでの採用実績を重ねている。本社と工場をオハイオ州のマイアミズバーグに構える。

 一方の帝人は、炭素繊維事業において航空機分野に注力しており、原糸から炭素繊維複合樹脂(CFRP)に至るまでのラインナップを拡充してきた。熱可塑性プリプレグが米ボーイング(Boeing)の1次構造材・2次構造材向けに認定されるなど、将来の最新鋭機に向けた新たな中間材料や工法の開発にも取り組む。

 帝人はレネゲードの買収によって、エンジン部材などへの適用が可能な高耐熱性プリプレグをラインナップに追加。自社で蓄積してきた炭素繊維や中間材料のノウハウと評価設備、販売チャンネルなどを生かし、レネゲードの製品を幅広く展開していく。これにより、航空宇宙分野向け炭素繊維事業のグローバル展開を強化できるとみる。

 帝人は2020年度中の稼働開始を目指して、サウスカロライナ州に炭素繊維の製造拠点「テイジン・カーボン・ファイバーズ」(Teijin Carbon Fibers)を建設している(2017年11月30日付ニュースリリース)。テネシー州には炭素繊維の販売を手がける「テイジン・カーボン・アメリカ」(Teijin Carbon America)、ドイツには炭素繊維事業会社「テイジン・カーボン・ヨーロッパ」(Teijin Carbon Europe)があり、これらとレネゲードを連携させてグローバル市場での対応力を高める狙いもある。

 こうした展開によって帝人は、航空宇宙分野向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとしての地位を固めるという。2030年近傍までに同分野での売り上げを、年間9億米ドル超まで引き上げる計画だ。