約30種類の「創薬AI(人工知能)」の開発を進めている産学連携プロジェクト「ライフ インテリジェンス コンソーシアム(LINC)」は2019年2月27日、第2回全体報告会を開いて4件のプロジェクト内容を公表した。このうち「有望提携先や研究テーマの自動探索」を行うプロジェクトは2019年夏にも商用化すると発表した。

 2016年11月に発足したLINCは国内を中心に約100の大手製薬メーカー、ヘルスケアやIT関連企業、研究組織が参加している。京都大学や理化学研究所などが事務局を務め、2020年9月まで3カ年計画で約30種類のAIの開発プロジェクトを並行して進めている。

 このうち「有望提携先や研究テーマの自動探索」を行うプロジェクトはプロトタイプ版を公開し、ジー・サーチが商品化して2019年夏にも販売を開始すると発表した。同プロジェクトは学術文献データベースに収蔵された論文の著者欄を基に、ある点を通る経路が多いほど中心性が高いとする「媒介中心性」と呼ばれる計算手法によって人間関係の経年変化を解析して、研究者がどう成功していくか予想する。探索テーマを入力すると、どういう分野に知見があるか、論文タイトルや共著者名などが分かる。

ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)の第2回全体報告会
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 同プロジェクトの調査でライフサイエンス系企業は共同研究者に対して、専門知識や技能に加えて自立性や協調性など人間的な付き合いやすさを求めているという。プロジェクトリーダーでバイエル薬品の八代好司氏は「このツールが企業に普及して、日本の若手研究者が早期に発掘されるように願っている」と述べた。

 また報告会では、機械学習で分子シミュレーションなどの計算精度を高めて創薬研究で確度の高い化合物設計を可能にするプロジェクトや、薬物動態・毒性などの高精度予測や任意の化学構造を学習させて新薬の開発期間の短縮を目指すプロジェクト、AIを用いて医療技術評価で費用対効果の評価に必要となる文献調査など収集支援システムを構築するプロジェクトの進捗がそれぞれ報告された。

 LINCの代表を務める京都大学大学院医学研究科の奥野恭史教授は「プロジェクトは本日でちょうど1年半だが、まだ加速しなければいけないプロジェクトもある。続けてほしいという声もたくさん寄せられている。今年9月にまとめて方針を示す」と述べた。