Webサイト閲覧者のPC処理能力を利用して仮想通貨をマイニングさせる「Coinhive(コインハイブ)」を設置したとして、サイト運営者でWebデザイナーの男性が不正指令電磁的記録保管罪(コンピュータ・ウイルスに関する罪)に問われた刑事裁判の最終弁論が2019年2月18日、横浜地方裁判所(本間敏広裁判長)であった。

横浜地方裁判所
[画像のクリックで拡大表示]

 公判の争点はコインハイブがサイト閲覧者の意図に反する動作や不正な指令を与えるものかどうかなどだ。検察側は「閲覧者が気付かないうちにCPU全体として20%程度が使用され、CPUの挙動が遅くなったり消費電力が7ワットから17ワットに上昇したりするなど、閲覧者は一方的に負担を強いられた。閲覧者の意図に反したことは明白だ」と述べ、罰金10万円を求刑した。

 これまでの公判で弁護側はWeb広告や法務省のサイトなどにも閲覧者の承諾なく実行されるJavaScriptが埋め込まれており、広告を含む大半のプログラムが犯罪となってしまうなどと指摘した。検察側は「閲覧者の意図に反するプログラムの内容が問題で、広告は視認できる。本件プログラムコードは閲覧者が認識できないため、社会的に許容されているものとはいえない」などと主張した。

 一方、弁護側は「コインハイブが不正指令電磁的記録に当たらない」と無罪を主張した。「閲覧者は事前にサイトにどんなプログラムが埋め込まれているかを知ることはできない。コインハイブはJavaScriptの1つで、特別の例外だとする理由は見当たらない」と指摘した。

 そのうえで男性がコインハイブを設置した当時、「コインハイブに閲覧者の承諾を得る機能は実装されていなかった。閲覧者の意図に反する不正なものだと認識していたとは到底言えない」と主張した。

 被告人の男性は最終陳述で「この裁判の判決はこれからのIT業界やインターネットに携わる全ての人にとって深刻な影響を与える」と裁判所に慎重な判断を求めて結審した。判決の言い渡しは3月27日の予定である。