「我々はGAFAにはならない。ユーザー企業が当社のクラウドで蓄積した知的財産やデータを当社が侵すことはない。さらに当社と共同開発した知的財産であってもユーザーに権利を帰属させる取り組みを推進している」。日本マイクロソフトは2019年2月5日に製造市場向け事業に関する記者説明会を開き、自社のクラウドサービス「Azure」についてユーザー企業の知財を守るプログラムの充実などを挙げて、他社クラウドサービスとの差異をユーザーに訴求していく方針を表明した。

 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれるIT大手に対して、米マイクロソフトはクラウドサービスで特にアマゾンやグーグルと競合する。ただAzureユーザーに向けた知財支援策の充実を訴え、2社との違いを鮮明に打ち出している。まず、ユーザーの知財保護を後押しするため、AI(人工知能)やデータ解析、シミュレーション技術など、マイクロソフトと共同開発した知財は顧客が所有する施策を推進する取り組みを紹介した。2018年4月に発表したユーザー企業との協業の原則「Shared Innovation Initiative」だ。

 マイクロソフトが共同開発の成果物を活用したい場合も、まずユーザー企業に権利が帰属すると明確にしたうえで、「マイクロソフトが協業したユーザー企業から許諾を得て使用権を得る形を取る」(鈴木靖隆 製造業ソリューション担当部長)ことを明確にする。このプログラムにより、ユーザーが懸念なくマイクロソフトと協業できる環境が整えられたという。

Azureを含めた製造業向け施策を説明する鈴木靖隆 製造業ソリューション担当部長
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 さらに、Azureのユーザー企業が他社から特許侵害などで訴えられた場合に、マイクロソフトが自らの特許などを使ってユーザー企業の係争や紛争解決を支援するプログラムも2017年に立ち上げた。マイクロソフトはここ数年、米IBMなどと特許出願数で上位を競っており、成立済みで数万件の特許を持つという。ユーザー企業が特許紛争に巻き込まれたときは、マイクロソフトの特許を使ってユーザー企業を訴えた企業とクロスライセンス交渉に持ち込むなど具体的な行動でユーザーを支援するという。

 既にこのプログラムを使った事例があるかどうかは非開示としたが、顧客の前向きな評価がAzureの採用に結び付いているとした。例えば、コネクテッドカー開発などの基盤としてAzureを採用したトヨタ自動車は「特許紛争での支援策があるを評価した、との声を友山茂樹副社長から頂いた」(日本MSの鈴木担当部長)という。

■変更履歴
掲載当初,鈴木靖隆氏の名前が誤っておりました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/02/06 19:30]