ルネサス エレクトロニクスは、地球低軌道(LEO:Low Earth Orbit)の小型衛星に向けた放射線耐性を備えるデジタルアイソレーターICを2製品発売した(ニュースリリース)。パッシブ入力に対応した「ISL71610M」と、アクティブ入力に対応した「ISL71710M」の2製品である。CANバスやRS-485、RS-422などのシリアルインターフェースや電源供給ラインに挿入して絶縁を確保する用途に向ける。高電圧スパイクに対する絶縁耐圧は、2.5kVRMSを確保した。最大データ伝送速度は、ISL71610Mが100Mビット/秒、ISL71710Mが150Mビット/秒である。

地球低軌道(LEO)の小型衛星に向けた放射線耐性を備えるデジタルアイソレーターIC
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 絶縁部には、巨大磁気(GMR:Giant Magneto Resistive)効果を利用しており、絶縁バリアー層にはセラミック材料とポリマー材料の複合体を使った。同社によると、「GMR効果を利用することで、小型化と高速化、低消費電力化が可能になる」という。絶縁バリアー層については、経年劣化がほとんど起こらないというメリットがあるとしている。

 競合するフォトカプラーと比較すると、「フォトカプラーは、放射線を浴びること(トータルドーズ)で感度が劣化してしまうが、GMR効果を使う今回のICは感度劣化がない」(同社)と主張する。さらに、トランスを利用するアイソレーターと比較すると、「トランスを使うタイプは、放射電磁雑音(EMI)の影響を受けやすいが、GMR効果を使う今回のICは影響をほとんど受けない」(同社)という。

 電源電圧範囲は、2製品どちらも+3〜5.5V。信号出力形式はCMOS。伝搬遅延は、ISL71610Mが8ns、ISL71710Mが10ns。瞬時コモンモード除去電圧(CMTI)は、ISL71610Mが20kV/μs、ISL71710Mが50kV/μs。自己消費電流は、ISL71610Mが1.3mA、ISL71710Mが1.8mAである。安全規格として「UL 1577」を取得している。放射線耐性については、0.01rad(Si)/sの低線量率(LDR)のときに30krad(Si)を確保した。シングルイベント効果(SEE:Single Event Effect)については、線エネルギー付与(LET:Linear Energy Transfer)が43MeVcm2/mgのときにSEB(Single Event Burnout)/SEL(Single Event Latchup)の発生なしを保証する。パッケージは2製品どちらも、実装面積が5mm×4mmの8端子SOP。動作温度範囲は−55〜+125℃。すでに量産を開始している。価格は明らかにしていない。