政府の知的財産戦略本部は2018年8月30日、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」の第6回会合を開催した。9月中旬をメドに策定する予定の中間取りまとめ案について、事務局が骨子案を提出。その中身を巡って激論が交わされた。

第6回会合の様子
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 中村伊知哉共同座長は中間取りまとめについて「通信の秘密と著作権の保護をどう調和させるか。それを前文に書き込みたい。漫画・アニメ大国として海外に示すメッセージとしての意味もある」と表明した。

 事務局が提出した中間まとめ骨子案は、海賊版サイトの現状を概括したうえで、総合対策として以下の8項目を示した。

  1. 正規版の流通促進
  2. 海賊版サイトの検索結果からの削除・表示抑制
  3. 著作権教育・意識啓発
  4. 海賊版サイトへの広告出稿抑制
  5. 侵害コンテンツの検知システムの確立
  6. 国際連携・国際執行の強化
  7. リーチサイト規制
  8. アクセス制限に係る措置

 8. アクセス制限に係る措置のうち、サイトブロッキング(利用者の同意に基づかないアクセス遮断)について骨子案は「ブロッキングに係る法制度整備について」との記述にとどまり、法制化の適否は示さなかった。今後策定する中間取りまとめ案では、サイトブロッキングについて第5回で事務局が提出した論点整理と第6回の議論を基に記述する見通しだ。

 中村共同座長は取りまとめ案を「委員の全会一致」の形で提出し、パブリックコメントを募る方針を示していた。だがブロッキングの法制度を整備することについて、弁護士の森亮二委員や全国地域婦人団体連絡協議会の長田三紀委員などが第6回会合で改めて反対を表明。ブロッキングの法制化を全会一致の形で総合対策に組み込むのは困難な情勢だ。

 このため、中間取りまとめ案では、法制化に向けた立法事実や立法技術上の論点を整理するにとどめ、法制化の適否については判断を示さず政府の政策判断に委ねる可能性がある。

 ブロッキングやフィルタリングに代わる「第3の海賊版サイト対策」として東京大学教授の宍戸常寿委員が提案した「約款に基づくアクセス警告方式」については、骨子案では「具体的な実施に向けた課題の整理、実施のための枠組みの検討・調整が必要」とし、導入に向けて前向きな記述となった。青少年対象のフィルタリング(利用者の同意に基づくアクセス遮断)については、「改正インターネット環境整備法に基づき、関係事業者の着実な取り組みを推進する」とした。

 このほか、骨子案では今後の課題として、「著作権を侵害する静止画のダウンロードの扱い」「海賊版サイトへの資金流入状況を確認できる法制度の整備」などを挙げた。

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