横浜市にある学校法人 高木学園は2018年6月16日、創立110周年の記念式典を開催した。その場で、2019年4月に理数系の女子高生を育てる学部を新設することを発表。また、子供のうちから創造力を養うことを狙って建て替えた、附属幼稚園の新園舎と園庭を公開した。この2大プロジェクトには東京大学名誉教授の坂村健氏、アートディレクターの森本千絵氏、建築家の隈研吾氏らが参加している。

 女性教育の先駆けとして、1908年に創立された現・高木学園。式典であいさつした高木暁子理事長はまず、来春に現在運営している高木学園女子高等学校の名称を「英理女子学院高等学校」に変更すること。そのなかに、理数系の女子高生を専門に育てる「iグローバル部」を開設すると述べた。

高木学園の高木暁子理事長。女子高生にも理数リテラシーが必要と訴えた
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 iグローバル部のオープンに当たり、国産OS「TRON(トロン)」の開発で有名な東京大学名誉教授で、現在は東洋大学情報連携学部長を務める坂村氏に監修を依頼。人工知能(AI)を使いこなせる女性人材の育成を目指し、理数系科目や論理思考の学習を中心にした授業を実施する。プログラミング言語の習得や、Webサイトやアプリケーションの作成、ロボット制作などにも取り組む。また、グローバルコミュニケーションには欠かせない英語教育にも重点を置く。

「iグローバル部」を監修する、東洋大学情報連携学部長の坂村健氏
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東京大学つながりの坂村氏(右、名誉教授)と、話に聞き入る建築家の隈研吾氏(左、現・教授)
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 2018年7月から建設に着工するiグローバル部の校舎は、IoT(インターネット・オブ・シングズ)を全面採用。3Dプリンターやレーザーカッター、スキャナーなどが完備した電子工作スペース「メイカーズ・ハブ」も置く。授業にはタブレットを積極活用する。

 女子高生向けに、これほどの理数系カリキュラムと設備を用意する高校は珍しい。高木理事長は「なぜ女の子に理数系の専門教育が必要なのかと疑問に思う人もいるだろうが、これからの女性には理数リテラシーが不可欠」と断言。そうした信念の下、110年の歴史を誇る老舗の女子高が学校名まで変更し、AIやITを学ぶiグローバル部の新設に踏み切った意義は大きい。

 式典で講演した、ジェンダー問題に詳しく政府関連機関などで活動する、関西学院大学の大崎麻子客員教授は「思春期の女性のエンパワーメントが国際的なテーマになっている。女性が経済力を身に付け、人生の選択肢を増やしていくうえで、今後はAIやITの理解が欠かせない。起業マインドの育成にも理数系の知識は避けて通れない」と後押しした。

 ここで、ガールズエンパワーメントのキーワードになるのが、世界的なトレンドであるという「STEAM」という考え方だ。これからの女性に必要なサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、数学の頭文字から成る言葉だ。まさに理数系の単語が並ぶ。だが1つだけ異質に感じるのはアートだろう。大崎客員教授は「ここでいうアートとは美術や芸術ではなく、創造力のこと」と説明を加えた。

 今やどの企業でも求められているイノベーションや新規開発に必要な要素が、STEAMには全てそろっている。

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