無駄な機能を備えたメタボなITシステムが、多くの企業の運用コストを押し上げている。メタボシステムを2度と作らないための方法を解説しよう。

 システム再構築時に無駄な機能を削るには、まず対象のシステムの現行機能を洗い出して業務用とごとに分類する。その上で、各現行機能の業務用途と役割を踏まえて、必要性を評価しよう。

 再構築プロジェクトでの要件定義の手順は「方針決定」「業務分析」「機能分析」「業務設計」という4フェーズ、10ステップで進める。ここではそのうち、メタボシステムのどの機能を残し、どの機能を削るかを評価して決める「継承・削減機能の選別」ステップについて解説する。

「継承・削減機能の選別」ステップ:利用状況から機能の重要度を評価

 「継承・削減機能の選別」ステップでは、業務用途ごとに整理した現行機能について、業務的に見た必要性・重要度を評価し、継承機能か削減機能かを選別する。

 このステップは、利用部門の代表者である検討メンバーとの打ち合わせによって作業を行う。検討メンバーは、「対象業務に詳しい」「既存システムを使っている」「利用部門で影響力が大きい」という3つの条件から、総勢8~10人を利用部門の上級管理職に選出してもらう。

 A社の例では、見積もり担当者2人、受注手配担当者2人、在庫管理担当者2人、請求・回収担当者1人、販売実績管理担当者2人の計9人を検討メンバーとして選出している。

 検討メンバーには、システム部門が作成した現行機能整理表の内容を確認してもらい、間違っている点があれば修正する。「業務用途」や「機能概要」の不明点ついて、内容を確認して新たに記述する。

 次に、各現行機能の業務用途と役割を踏まえて、機能の必要性を評価する。ここでは、機能がないと業務が実行できない場合には「必要」、必要性が分からない場合には「不明」と評価する。業務的に見て「必要」と評価したシステム機能は、新システムに引き継ぐ継承機能と判断する。

 A社では、販売実績管理サブシステムの現行機能のうち「部門別受注・売上予実情報照会」「商品別受注・売上予実情報照会」は「必要」と評価した。

 一方、「商品別受注分析」「市場別受注分析」「見積件数上位顧客分析」「顧客別受注金額傾向分析」「明」と評価している。

 「不明」という評価の機能については、「既存システム利用状況整理表」を使って重要度を評価する。

既存システム利用状況整理表
必要性が「不明」と判断されたシステム機能について、利用状況(どういう属性を持つユーザーが、どういうときにどれくらい使っているか)を調査したうえで、重要度を評価する
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 「不明」と評価した機能の多くは、人によって必要か不要かが分かれる。そこで検討メンバーに、機能の利用状況の調査を依頼する。

 具体的には、各機能について「どういう属性(職種、役職、年次など)を持つユーザーがどの程度(多、中、少)」「どういうときにどれくらいの頻度(多、中、少)で」使っているのか調べてもらう。

 A社の販売実績管理サブシステムで「不明」と評価した、「商品別受注分析」と「市場別受注分析」は、多くの営業員が営業活動を行う際に日常的に使っていることが分かった。「見積件数上位顧客分析」は、ほとんど使われていないことを確認した。「顧客別受注金額傾向分析」は、一部の営業管理者が部下を指導する際に使用し、「商品別受注価格傾向分析」は一部の営業員が商品の見積価格を決める際に使用していることが分かった。

 このように、機能ごとの利用状況を把握したうえで、重要度を評価する。例えば、利用者数が多く利用頻度の高い機能は重要度を「高」、利用者数が限られていたり利用頻度が低かったりする機能は「中」、利用者や利用頻度がほとんどない機能は「低」とする。

 A社の例では、先の「商品別受注分析」「市場別受注分析」は重要度を「高」、「見積件数上位顧客分析」は「低」、「顧客受注金額傾向分析」「商品別受注価格傾向分析」は「中」と評価した。

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