納期遅れや予算オーバーなどシステム開発プロジェクトを巡るトラブルが、なかなか減らない。どうすれば立て直せるのか、その最新テクニックとは。

 暗礁に乗り上げたシステム開発プロジェクトを、プロジェクトマネジャー(PM)はどう立て直すのか。現状を正確に把握し、適切な対策でプロジェクトを立て直した事例から、火消しに必要なワザを探ろう。

要件定義が終わらない
最大公約数で課題を捉える

 TISの清水育夫品質革新本部副本部長が火消し役として飛び込んだのは、金融系システムの再構築プロジェクトだ。全工程で2万人月弱、ピーク時は1000人が参画する大型プロジェクトである。

TISの清水育夫副本部長
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 プロジェクトは初っぱなからつまずいた。4月に要件定義を開始したものの、一向に作業が終わる気配はなく、夏には問題が深刻化していた。清水副本部長は9月にPMとして着任し、要件定義の収束と外部設計以降の工程を託された。

 まず着手したのが現状把握だ。その際に気をつけたのが、先入観を持たないことだ。「前任者や周りの人がプロジェクトに対していろいろ言ってくる。そうした内容はいったん忘れ、既存のドキュメントから現状を洗い出した」(清水副本部長)。「週次進捗資料」や「過去工程の品質評価資料」、「過去の課題/リスク一覧」「顧客とやり取りした資料」などからプロジェクトの課題を浮き上がらせた。

 プロジェクト管理の現状把握に当たっては、プロジェクトの不調を確認するために、テンプレートも利用した。課題や進捗、品質といった管理項目について、プロジェクトが不調に陥った際に見受けられる傾向がまとめてある。こうしたテンプレートを使えば、現状を冷静に押さえられる。

プロジェクトの不調を確認するテンプレートの例
TISの資料を基に本誌が作成
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 現状把握の結果、要件定義が終わらない理由が見えてきた。「複数拠点で開発を進めていたこともあり、メンバー間のコミュニケーションが不足していたし、人数が多いゆえの情報ロスもあった」(同)。開発メンバーのスキル不足も明らかだった。「金融に関わる業務を理解し切れていないため、ユーザーの要望をうまく要件に落とせない。だから指摘事項の修正が一向に終わらない」(同)。

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