納期遅れや予算オーバーなどシステム開発プロジェクトを巡るトラブルが、なかなか減らない。どうすれば立て直せるのか、その最新テクニックとは。

 「どのプロジェクトに入ってもユーザーが常に怒っている」。ここ15年ほど、主に火消しプロジェクトのプロジェクトマネジャー(PM)を務めてきたTISの清水育夫品質革新本部副本部長は、現場の炎上ぶりをこう話す。ささいなことでユーザーの信頼を失うプロジェクトの危うさに警鐘を鳴らすのが、富士通の丸田俊明第二行政ソリューション事業本部事業戦略統括部特定ソリューションデリバリー部シニアマネージャーだ。「会議での配慮を欠いた発言がもとで、ユーザーは資料を投げ捨て退席してしまった」。

 システム開発プロジェクトを進める過程で、QCD(品質、コスト、納期)が崩れるトラブルが一向に減らない。「要件定義が遅延」「テストでプログラム品質の低さが露呈」など、プロジェクトが火を噴く工程は様々。トラブルに直面し、ユーザーと開発チームが険悪になる局面は少なくない。PMには、炎上したプロジェクトを立て直す責任が重くのしかかる。

 ただでさえ簡単ではないのに、プロジェクト運営を脅かす火種がここにきて増えてきた。デジタル化の要請、再構築案件の増加、人材不足の3つだ。

プロジェクトの炎上を助長する最近の要因
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 SoE(Systems of Engagement)が象徴するように、顧客との結び付きを強める新たなサービスを生み出すデジタル化は、開発スピードが命。当然、プロジェクトの短期化に拍車をかける。「モバイル機能とフロントエンド、バックエンドを担当するSIベンダーを分けた分割発注も多く、仕様のすり合わせやコミュニケーションのオーバーヘッドが大きい」(NTT データの髙見将則システム技術本部生産技術部Agile Professional Center主任)のも、プロジェクトのリスクを高める。

アジャイルの過信は危険

 アジャイル型の開発プロジェクトをどう仕切るかも、大きな課題になってきた。進捗管理やレビューなど、従来のウオーターフォール型開発とは異なるマネジメントスキルが求められるからだ。アジャイル型開発の採用で悩ましいのが、SIベンダーに対してシステムを発注するユーザー企業の期待値が高いこと。

 システム構築支援を手掛けるイントリーグで自ら火消し役も務める永井昭弘社長兼CEOは、「ウオーターフォール型の一部にアジャイル型を組み合わせたSIベンダーの提案が見受けられる。ユーザーもそれで行けると安易に合意してしまうようなプロジェクトは危険だ」と指摘する。

 アジャイル型に「早い」「安い」というイメージを持つユーザーは少なくない。日本IBMの吉田裕美子GBSサービス品質Quality Leader理事は「本当にアジャイルのアプローチが正しい選択なのかどうか判断すべきだ」とくぎを刺す。

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