仕事にムラのある部下。自分の気分で仕事を進める人材は、リーダーにとって厄介な存在だ。こんな人材の操縦術とは。

 保険会社の自動車保険新システム構築プロジェクトにおいて、プロジェクトリーダーの長尾はメンバーの松本に、Web機能と連携したサーバー側の機能の設計を任せた。松本はメインフレームでの経験は豊富だが、Webシステムの設計・開発は初めての挑戦だった。

 ある日、長尾が松本の作業の途中経過を確認しようとしたときに、問題が判明した。松本の設計は、彼が自分で理解できている箇所は詳細に作り込まれているのだが、ところどころ文字を埋めただけのような箇所が散見される。どうやら松本があまり理解できていない部分のようだ。

 松本に聞くと「レビューやテストのときに確認するつもりだった」という返事が返ってきた。

 自分が理解しているところばかり力を入れて作業する松本さん。いわば、自分の好き嫌いがそのまま仕事の成果に影響してしまう、仕事にムラがあるタイプである。リーダーにとっては、安心して仕事を任せられない、厄介な部下といえる。

 このような部下に対して、どうすれば興味のない仕事や理解できていない仕事であっても、こちらの意図通りに成果を出させられるようになるだろうか。

〈イラスト:小林 ちか子〉

いい加減に作ることを容認

 部下の仕事にムラがある場合、本人の性格や特性を取り上げても解決には至らない。興味のある仕事や自分が理解している仕事にばかり力を入れてしまうのは、本人の特性といえる。これは、簡単に変わるものではない。

 この場合、真っ先に変えるべきものは、仕事の手順や仕組みである。具体的には、仕事の成果をチェックする工程を増やすことが、対策の1つになる。仕事のムラにつながる作業上の問題を早期にあぶり出せるようになるからだ。

(1)中間レビューで問題を早期発見

仕事にムラがある部下への対処策
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 冒頭のケースで、松本さんの「レビューやテストのときに確認するつもりだった」という発言は、仕事にムラがある部下の典型的なパターンだ。彼らに「レビューとは何か」と質問すると、「確認することだ」という返事が返ってくることが多い。自分が作った成果物が正しいかどうかを確認する場という認識である。

 この認識は間違いとはいえないが、レビューを受ける側の仕事に対する姿勢に安易な気持ちを生じさせる場合があるので注意したい。つまり、「レビュー=成果物確認」という認識は、「分からないところはレビューのときに確認すればいい」と考えていることの表れでもあるからだ。「いい加減に作る」ことを容認しているようなものだ。

 実際、そういう認識のメンバーがレビューを受けると、その場で仕様確認などの質問がよく出てくる。不明点は作業している段階でその都度質問せよ、と徹底しても、なかなかうまくいかないことが多い。

 筆者も、まだ経験2~3年目だった頃は、レビューは自分の成果物を確認、チェックしてもらう作業だと思っていた。そのため「これはこのように解釈して作ったが合っているか」など、質問会のようなレビューを繰り返していた。レビュアーの中には、「そんなことを今さらチェックさせるのか」と怒る人もいた。今思えばとても恥ずかしいことだ。

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