ITが競争力に直結するネットサービス企業にも、2025年の崖の脅威は迫っている。15年前に基幹系システムを構築したZOZOはITアーキテクチャーの刷新を急ぐ。事業拡大や柔軟なサービス追加をしやすいシステムへ変える。

 ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZO。2019年9月にカリスマ創業者の前澤友作氏が経営トップの座から退き、ヤフーグループに入った。澤田宏太郎新社長の下、新生ZOZOとして歩み始めている。

 経営体制の変更と並行してZOZOが進めているのが基幹系システムの刷新だ。同社の基幹系は、商品の販売から物流までの機能を持つ独自開発のEC(電子商取引)システムだ。2004年に構築して以来、システムのアーキテクチャーを変えずにビジネスの規模を拡大させてきた。

 しかし、アーキテクチャーを維持したままの事業拡大は限界に近づいていた。このままではビジネス規模にシステムが追随できなくなり、古くなった基幹系システムが事業拡大の足かせになる「2025年の崖」に落ちるリスクがあった。

 ECシステム刷新のため、ZOZOの子会社であるZOZOテクノロジーズに請われて入社したのが岡大勝Chief ZOZOTOWN Architectだ。それまで、ITアーキテクチャー設計と開発プロセスのコンサルティング会社であるゼンアーキテクツのCEO(最高経営責任者)を務めていた岡氏は日本で屈指のITアーキテクトである。2019年4月にZOZOテクノロジーズに移った。

 岡氏は「今考えられる最新の技術を使って、ZOZOに最適なITアーキテクチャーを実装する」と話す。ZOZOが目指す次世代システムのアーキテクチャーは、決してWebサービス企業だけのためのものではない。多くの企業が2025年の崖を回避するためのヒントにあふれている。

モノリシックなシステムに限界

 ZOZOTOWNの現行のシステム構成は、大きくWebアプリケーションサーバーとDBサーバーからなる(図1)。Webアプリケーションサーバーは日本マイクロソフトのIIS(Internet Information Services、バージョンは非公開)。ASP(Active Server Pages)でWebページを生成していた。.NET環境以前の、いわゆる「クラシックASP」である。言語はVBScriptだ。

図1●ZOZOTOWN の現行のシステム構成
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 DBサーバーはマイクロソフトのSQL Server(バージョンは非公開)で構築。Transact-SQLで記述したプログラムをストアドプロシージャとして動作させていた。

 このシステム構成は2004年当時では一般的だった。Webアプリケーションサーバーをスケールアウトさせることで、アクセス数の増加に対処してきた。DBサーバーに組み込むストアドプロシージャは性能を引き出す上で必要だった。

 しかし、現在ではこのアーキテクチャーは古くなってきている。最大の問題はアプリケーションがモノリシック(一枚岩)である点だ。15年間運用してきた中で、コード量が増加。アプリケーションの一部を変更したときの影響範囲を把握しにくくなっていた。2025年の崖で指摘される、システムのブラックボックス化のリスクが高まっていた。

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