RPAの落とし穴の1つに「ロボットが間違いを犯す」といったものがある。ロボットの設定にミスがあったり、条件分岐パターンの抜け漏れがあったりすると、ロボットが間違った処理をしてしまうのだ。一般的なシステム開発のようにテストを実施して、ロボットの品質を高める方法を紹介する。

 間違った動作をするロボットになるのは、テストが不十分なままロボットをリリースしているからだ。RPAでもテストをしっかりやらなければならない。これは一般的なシステム開発と変わらない。ただ、現時点ではRPAには確立されたテストの手法がない。筆者の経験を交え、まず押さえるべき3つのポイントを解説する。

 RPAのテストで着目すべきポイントは(1)ロボットの機能、(2)業務プロセス、(3)エラー検知と処理の継続、である。

RPAのテストで着目すべき3つのポイント
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Excelもテスト対象にする

 (1)の「ロボットの機能」では、意図した通りの機能をロボットが正しく実行できるかどうかを確認する。ロボットだけでなく、ロボットが操作するExcelシートの関数やマクロもテスト対象にする必要がある点に注意しよう。

 例えば、Excelファイル上の金額を集計して、集計値が別のシステムの金額と一致するかどうかを検証する業務をRPAで自動化したとする。このとき、ロボットが実施する処理は大きく3つある。ファイルを開くといった「単純作業」、集計を行う「複雑操作」、金額検証のための突合といった「判断処理」だ。

 単純作業はRPAツールで実装し、複雑操作、判断処理はExcelの関数やマクロを用いることが多い。慣れないRPAツールを使って複雑なロジックを組むよりも、使い慣れたExcelを使った方が開発効率が良い場合が少なくないからだ。開発者を集めやすいという事情もある。

 不具合は単純作業では出にくく、複雑操作と判断処理に出やすい。テスト対象をロボットだけにしていると、不具合リスクの高い複雑操作と判断処理を見逃してしまう場合がある。

 また、一般的なソフトウエア開発のようなテスト観点の決め方を適用できない点にも注意が必要だ。RPAの導入プロジェクトでは、簡単な要件定義と設計をした後、試行錯誤をしながらロボットの設定を決める場合が多い。こうした進め方では、設計内容の詳細な文書化は行われない。テストを実施しようにも、何をテストすればいいのかを迷う事態に陥りがちだ。

 そこで、設計書の完成を待たず、あらかじめテスト観点を決めておくことを推奨する。例えば複雑操作に当たる集計処理では、下表のような観点をあらかじめ決めておき、これを利用してテストを実施する。処理のインプット、プロセス(途中処理)、アウトプットとデータに着目して、集計処理を実施した場合に誤りやすいポイントを挙げた。

ロボットの機能の検証で効果的なテスト観点
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 集計処理以外の業務では別のテスト観点が必要になるが、重要なのは処理の種別に応じてテスト観点をあらかじめ決めておくことだ。テスト時に迷わずに済む。

業務の結果の同一性を確認

 (2)の「業務プロセス」では、人が行っていた既存業務とRPA導入後のロボットで自動化した業務を比較して、差異がないかを確認する。ポイントは2つ。1つめは作業手順の変更、2つめは誤りの検知だ。

 1つめの作業手順の変更とは、業務の効率化やRPAの技術的な制約を理由に、手作業とロボットでは作業手順が変わる場合が多いことだ。ロボットによる自動化では、既存の作業手順を単純になぞるのではなく、作業の順番を変えたり、もともとの業務にはない手順を加えたりする。重要なのは、手順が変わっても結果が変わらないことだ。

 業務を人が実施した場合でもロボットが実施した場合でも、アウトプットは同じでなければならない。テストでは、こうしたロボットによる業務結果の正しさを確認する。具体的には、人が業務を実施したアウトプットと、ロボットが業務を実施したアウトプットを突合して検証する。

ロボットによる業務結果の正しさは比較で確認
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 アウトプットの確認対象は「出力画面」「出力帳票」「出力ファイル」の3種類。それぞれについて、内容と処理ステータスが一致しているかどうかを比較検証する。従業員への給与振込業務を自動化する場合を例に取ると、振込結果を人による業務の実施時とロボットによる実施時で比較する。

 比較検証では、定常的に発生する手順のほか、不定期に発生する非定常の手順もテストを実施する。例えば月次業務では、通常よりもデータ量の多い月、データや業務手順が通常とは異なる月があるはずだ。代表的な月を選択して比較検証を行うとよいだろう。

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