米マイクロソフトの開発言語「Visual Basic(VB)」が登場したのは今から約30年前の1991年だ。1998年に登場した「VB 6.0」で開発したアプリケーションを今でも利用している企業は少なくない。一方で開発言語としてのVBのサポートは終了し、いつまで使い続けられるかわからない状況だ。VBを刷新すべきタイミングが来ている今、その最適な方法を解説する。

 Visual Basic(VB)で開発し、保守を続けてきた150万ステップにおよぶ社内システムを使い続けたい。しかしマイクロソフトによるVBのサポートは終了し、VBアプリケーションが動作可能なPCがいつまで使い続けられるかわからない。社内には保守人員を抱えており、新規開発を決断することも簡単ではない。一体、どうすればいいのか――。

 ある保険会社からTISに、こんな相談が寄せられたという。「VBで開発した社内システムは業務と密接に結び付いているケースが多い。数年かけて慎重に刷新の決断をする企業がほとんどだ」とTISの森孝次サービス事業統括本部保険&メディカルビジネスユニット保険&メディカルサービス営業部主査は話す。

 この企業のように、「ここ数年、数十万ステップもある大規模なVBアプリを刷新したいという案件が継続的にある」(森主査)という。

 背景には、「2014年のWindows XPのサポート終了時にVBアプリの刷新を見送った企業が、Windows 7やWindows Server 2008のサポート終了が近づいたのを機に、再び刷新を検討していることがある」と森主査はみる。

 Windows Server 2008の延長サポート期限は2020年1月に迫っている。Windows 7についてもサポート終了は見えている。マイクロソフトは2019年10月2日にWindows 7のサポート期限を2020年1月から「法人向けは2023年1月まで延長する」と発表したが、企業システムにとっての3年は決して長くはない。

 VBアプリの刷新が待ったなしの状況にある理由は、Windowsのサポート終了だけでない。そもそも開発言語としてのVBのサポートは2008年に終了し、新規開発はできなくなっている(図1)。

図1●Visual Basic を取り巻く状況
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 マイクロソフトはWindows 10で動作可能な実行環境を提供しているものの、提供期限は明確にしていない。現在動作しているVBアプリの保守は難しく、いつまで使い続けられるかわからない状態だ。

10万ステップが目安

 では今も現役で動作しているVBアプリをどのように刷新すべきなのか。その選択肢は2つある。新規開発として作り直すか、既存のVBアプリを利用してマイグレーションするかだ(図2)。

図2●VBアプリの刷新方法の選び方
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 分かれ目はまず現状のVBアプリの状態だ。「10万ステップを目安にそれ以上の規模の場合はマイグレーション、それ未満の場合は新規開発のほうが期間やコストを抑えられる」とTISの森主査は話す。

 マイグレーションを実行する際は変換ツールを利用することが一般的だが、100%の自動変換は難しい。手作業で実施する工数を比較した場合、10万ステップ未満であれば作り直したほうが工数を抑えられるとの考えだ。

 同様に手作業を増やすのがサードパーティー製のツールの利用だ。VBアプリを開発する場合、表計算や帳票などに専用の作成ツールを利用する場合がある。これらのツールとの接続プログラムは変換ツールでは自動変換できないため、手作業で作り直すことが一般的だ。サードパーティー製のツールを多数利用していると作り直すプログラムが増え、プロジェクトの工数が多くなる。

コスト削減はマイグレーション

 こうしたVBアプリの状況に加え、アプリケーション刷新の方針を加味して最終的に刷新手段を選ぶことになる。大規模なアプリであればマイグレーションのほうが工数を抑えられ、期間も短くできる。費用や期間を優先する場合はマイグレーションを選択すべきだろう。

 「社内インフラのクラウド化に合わせてクライアント/サーバー(C/S)型のVBアプリをWeb化したい」といった新技術を採用する場合は、新規開発を選択するのが一般的だ。

 ただしマイグレーションでWeb化する方法もある。チェプロの「Visual WAO」はWindows Formsを使って開発したC/S型のアプリケーションをWeb化するツールだ。こうした専用ツールを使えば、マイグレーションでもWeb化が可能だ。チェプロの福田玲二社長は「VBの見た目を変えずにWeb化できるのがメリット」と説明する。

 刷新手段を選択する際には、「VBアプリだけでなく、全社的なシステム戦略を踏まえるべき」と日本ユニシスTechマーケ&デザイン企画本部クロスTech企画部の高橋謙一郎氏はアドバイスする。デジタルトランスフォーメーションやクラウド活用など、「今後の技術動向なども考慮すべきだ」(同)。

 この記事ではVBアプリの刷新手段で最も一般的である、VB6.0からVB.NETへの移行のポイントを解説する。

出典:日経SYSTEMS、2019年11月号 pp.44-49
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。