ウオーターフォール型の大規模システム開発でも良いUIの開発は実践できる。開発プロセス全体を通じてUIデザインの品質をアップする仕組みを作ろう。10年後も使いやすいシステムを維持できる準備に開発時から取り組もう。

 前号まで使いやすいシステムを作るために必要な基本知識を解説する「ITエンジニアのためのデザインの基本」を連載してきました。良いUX(ユーザーエクスペリエンス)を実現するための考え方の1つである「JJGの5階層モデル」やUXの評価方法、そしてUXデザインの学び方などを取り上げてきました(図1)。

図1●JJGの5階層モデルとシステム構築の工程とアウトプット
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 今回からは新たに、実プロジェクトでより具体的にUXデザインに取り組むための勘どころを解説していきます。初回である今回は大規模システム開発においてUXデザインに取り組む意義や、実践するためのポイントを紹介します。

利用時の品質への期待が高まる

 画面数が300以上あるような大規模システムの場合、その多くはウオーターフォール型で構築されます。こうした大規模なシステム開発において、UXに関する様々な課題に直面した方は多いのではないでしょうか。

 画面設計で合意していたはずが、受け入れテストの段階で「想定と違う」と言われてしまう。異なるチームが開発した結果、同じ操作内容なのにモジュールごとのUIが微妙に変わってしまう。稼働直後は使いやすかったのに、保守を重ねていくうちに使いにくくなってしまう、などです(図2)。

図2●大規模開発で起こりがちなUXデザインに関する課題の例
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 大規模システムの場合、ステークホルダーが多岐にわたることで仕様の調整やコミュニケーションが複雑になります。また開発規模が増大すると、プロジェクトマネジメントの難易度が上がります。そのためプロジェクトマネジャーにとって従来のプロジェクトの進め方にデザインの観点を加えることは、リスクになると捉える方もいるかもしれません。

 しかし企業のシステム化が一巡した今、顧客やエンドユーザーは単に業務やサービスをIT化するだけではなく、システムを使っていかに「やりたいことができるのか」「無駄なくスムーズに作業ができるか」「ミスを防げるか」「使った人が満足できるか」といった利用時の品質を期待するようになってきました。

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