テスト実行では、テスト設計で作成したテストケースに基づいて、テスト環境を使って検証を実施する。テスト実行プロセスの最初の段階では、テスト実行に必要な作業を洗い出し、実行順番やスケジュールを決定する「テスト実行準備」を実施する必要がある。

 テスト対象のシステムでテストケースに書かれた手順を実施して、結果を出力するプロセスが「テスト実行」だ。今回はテスト実行プロセスの最初に実施する「テスト実行準備」について解説する。テスト実行準備とは、テスト実行に必要な作業を洗い出し、実行順番やスケジュールを決定するサブプロセスとなる。これには欠かせない6つの作業がある。

テスト実行前の準備
欠かせない6つの作業を押さえる

 テスト設計プロセスまででテストケースが出来上がった。この先はテスト実行プロセスとなる。テストの流れの手ほどきを受けている若手社員「ワカテくん」が先輩社員からのアドバイスをもらっている。

ワカテ:テスト計画書とテストケースを作成できたので、あとはテスト実行をするだけですね。

センパイ:ちょっと待って。いきなりテストケースの消化を始めるのは、トラブルの元になるよ。テスト実行を始める前に準備が必要なんだ。

ワカテ:テスト実行の前に準備ですか。どんな作業でしょうか?

センパイ:テスト実行には、テスト環境の設定やテストデータの準備とかが必要だよね。そうした作業を洗い出したり、テストケースの実行順番を検討したり、実行スケジュールを決めたりするんだ。

 テスト実行を「作成したテストケースをただ消化すればいい」と思い込んでいる開発者やテスト担当者は少なくない。こうした人がテスト実行の開始時にハマりがちなわながある。テスト実行の開始日になって、テストケースを上から順に消化しようとすることだ。こうした進め方をすると、何から始めればいいのか分からずに途方に暮れてしまう。テスト実行には、必要な準備作業の把握や洗い出しを実施する「テスト実行準備」が欠かせない(図1)。

図1●テストプロセスの全体像
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 テスト実行準備が不十分だと、前述したような途方に暮れる事態になりがちである。仮にそこで困らなくても、テスト実行に着手してからテストデータの準備に想定以上に時間がかかったり、テストで使いたいモバイル端末などを使用できなかったり、さらには不適切な環境でテストを実行してやり直しになったりといった問題に直面する。問題対処で時間を食いつぶしたために、テスト完了予定日にテストが終わらず、予定日にリリースが間に合わないといった深刻な問題に発展する場合もある。

 ここでは、テスト実行準備で押さえておくべきポイントを解説しよう。テスト実行準備はテスト実行プロセスの最初に実施する。テスト実行準備は次の6つの作業に分類できる。なお、以下の番号は検討すべき順序を示すものではない。プロジェクトの状況によっては前後することもある。

(1)プロジェクト全体のスケジュールを確認する
(2)テスト実行に必要な作業を洗い出す
(3)制約事項を洗い出す
(4)作業工数を見積もる
(5)テスト実行の順番を決定する
(6)テスト実行スケジュールを作成する

 前半では、テスト実行準備のアウトプットを作成する前提となる(1)~(4)を説明しよう。

(1)プロジェクト全体のスケジュールを確認する

 まずは、最新のテストスケジュールを確認する。開発の遅延や、プロジェクト全体のスケジュールの変更などにより、プロジェクト開始時に予定していた開発完了予定日やテスト期間、リリース日などが変わっていることもあるからだ。

 特に多いのが、開発の遅延によるテスト期間の短縮だ。短縮された期間内にテストを完了させるには、人員を追加する、優先度の低いテストを実行対象から外すといった判断が必要になる場合がある。

 最新のスケジュールを把握しないままテスト実行を開始すると、テスト完了予定日までに必要なテスト実行を完了できないといった事態に陥りがちだ。そのような事態を避けるため、テスト実行の前にプロジェクト全体のスケジュールを再確認することは怠らないようにする。

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