AIシステムの開発プロジェクトを解説してきた本連載も今回が最終回だ。最後にAIシステムの開発プロジェクトに着手する前に押さえておきたいポイントを挙げる。重要なのは「何のためにAIを使うのか」という目標を見失わないことだ。

 本連載ではこれまで、AI(人工知能)システム構築の特徴や注意点を、システム構築のフェーズごとに紹介してきました。最終回となる今回は、プロジェクトを発足する際に押さえるべき5つのポイントを解説します。これまで取り上げた各フェーズでの注意点を踏まえて、AIシステムの導入を検討している業務をイメージしながら読み進めてください(図1)。

図1●AIシステムの構築前に考えるべき5つのポイント
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ポイント1:業務課題の整理
AI導入の目的を明確にして期間や予算を検討

 AIシステム構築プロジェクトを立ち上げる前に、準備しておくことがあります。業務課題の整理、そしてシステムの導入範囲の検討は必須の作業です。これらの情報がその後のPoC(Proof of Concept=概念実証)や本番導入への第一歩となります。

 業務課題を整理することで、システム開発の範囲が設定できるようになり、開発目標を定量的に把握できます。この目標は、PoCで目指す精度を検討する際に必要になる情報です。事前準備の際に、「PoCでモデルを開発しやすいから」「同業他社の事例があるから」といった理由で、分析の手法やアルゴリズムを優先して検討しないように注意が必要です。まずは導入対象となる業務課題の整理や、システムの導入範囲を検討しましょう。

 業務課題とシステムの導入範囲を明確にしたうえで、AIシステム導入プロジェクトの期間や予算を検討します。一般的にプロジェクトの期間や予算を検討する際に前提となるのは、システム開発対象の全体像です。

 ところがAIシステムの場合、プロジェクトの発足時に対象システムの全体像は明確ではありません。AIシステムのコアとなるモデルがどの程度機能するかは、この時点で明らかでないため、詳細化は困難です。

 そのためシステム開発対象の検討と、PoCは並行して実施することになります。AIシステム開発のPoCというと、学習データやアルゴリズムの選定、データの成形を重視する傾向があります。しかしPoCの本来の目的はモデルの開発ではなく、AIを用いた業務課題解決のアプローチを検証することです。PoCの結果によって、実際に構築するAIシステムの機能、アーキテクチャーは大きく影響を受けます。

 そこでAIシステムの開発ではプロジェクト期間や予算を決める際には、PoCを起点として考えます。PoCまでのプロジェクトスケジュールや予算と、PoC後に着手する本番システムのスケジュールや予算を分割することが重要になります。仮にプロジェクトの開始時点で、AIシステムの本稼働時期が設定されている場合は、「まずAIありき」のプロジェクトとなる恐れがあり、注意が必要になります。

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