一般に、DXプロジェクトではアジャイル開発が適していると思われがちだ。しかし実際はそうとも限らず、ウオーターフォール型が向くケースが多々ある。プロジェクトの特性に応じて、開発プロセスを柔軟に採用しよう。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトのシステム開発の流れは基幹系システムの場合とは異なります。では、どんな手順に沿って進めればよいのでしょうか。

 まず、DXプロジェクトの開発の流れの全体像を見てみましょう。図1に、DXプロジェクトの代表的な開発プロセスを示します。プロジェクトの内容や予算・体制などによって適切な開発プロセスは異なりますが、「AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などリスクの高い新技術を利用する」「新規ユーザー向けサービスを開発する」といったDXによくあるプロジェクトの場合、こうした開発プロセスが1つのモデルになります。

図1●DXプロジェクトの開発プロセスの代表例
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 図を一見して、「ウオーターフォール型だ」と感じたかもしれません。DXプロジェクトの場合、要件定義から設計、開発と順を追って進めていくウオーターフォール型ではなく、短いサイクルで開発やテストを繰り返すアジャイル型が適していると考えている人は多くいます。しかし、実はDXに常にアジャイル型が適しているとは限りません。ウオーターフォール型が向いているプロジェクトも多数あるのです。そこで今回は、ウオーターフォール的な開発プロセスを基に、プロジェクトの進め方をフェーズごとに解説します。アジャイル型を採用すべきなのはどんなときか、どのように取り入れるべきかについても説明します。

サービスの企画と要求定義をする

 まずフェーズ①で、要件・要求定義を実施します。新しいサービスを開発するDXプロジェクトでは、既存業務というものが存在しません。そこで、まずはサービスの企画とサービス要求定義を行います。それぞれについて説明しましょう。

 サービスの企画とは「顧客(サービス利用者)は誰なのか」「どんな課題を解決するのか」「何を使って解決するのか」の3項目を明確にすることです。これらが曖昧だと、要件定義で何を盛り込むべきかの判断軸がぶれてしまいます。

 この3項目を明確にするときのポイントは、ユーザーの視点を盛り込むことです。3項目がしっかり決まっているように見えても、ユーザーの視点で検証されていない場合が多くあります。DXプロジェクトの企画は、本当に想定しているユーザーの課題やニーズが存在するか確認が取れていないと、失敗する(誰も使わないものが出来上がる)リスクが高くなります。

 次にサービスの要求定義を進めます。企画案を実現するためにどんなデバイスでどのような機能を必要とするかを列挙します。例えば以下のようにまとめます。

IoTのDXプロジェクト例

  • 振動モニタリングのIoTセンサーを用いて、振動状態から故障を予測する
  • ユーザーのスマートフォンに故障リスクを通知する

AIのDXプロジェクト例

  • 過去の日ごとの注文データを用いて、最適なスタッフ数を予測する
  • 予測結果を店長にメールで通知する

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