働き方改革法案が2019年4月から順次施行され、その影響がプロジェクトの阻害要因となっている。かといって、法律や会社の制度は無視できないし、だらだらと長時間働くのも本意ではないはずだ。法律や制度を前提として、プロジェクトのリソースやタスクをコントロールする仕組みが必要だ。

 ただプロジェクトを推進しようとしているだけのあなたに、突然物陰から襲いかかって来る影。あなたの足元で不意に牙を剥くわな。プロジェクトには「邪魔モノ」、即ちさまざまな阻害要因がつきものです。では、プロジェクトから阻害要因を取り除くにはどうすればよいのでしょうか。今回の邪魔モノは「働き方改革」。その対策を見ていきましょう。

ミッション1 早帰り指令
「業務終了時刻になりました」

 ニッケイ総業の在庫管理システムレベルアッププロジェクトのプロジェクトマネジャー(PM)、園田蹴人は、会議室の壁のホワイトシートに当面の重要課題を書き出していた。1行目は「問題管理」だ。

「結合テストの不具合が想定より多い。今月中に原因分析と横展開を終わらせたいよね。黒川さん、コントロールタワーを担当してくれるかな」

 まだ若いSEの黒川が、身を守るように腕を組んだ。

「俺、もともとはインフラ屋で、工業簿記には詳しくないんですよね」

 園田は、励ますような笑みを浮かべる。

「業務知識については、友野さんに聞けばいい。友野さん、サポートお願いしますね」

「了解です」

 髪の白いベテランのパートナー要員、友野SEが右手を眉毛に当てて敬礼の仕草をする。

 2行目、「変更管理」。

「来週のステコミで、変更管理ルールの再徹底をしたい。岡山、資料の準備と再送付を頼む」

 プロジェクト事務局の岡山は、少し困った顔をした。

「新メンバーの入館証がまだ手配できていないんですが」

「そっちは明日以降でいい。ゲスト用の臨時入館証で2~3日はしのげる。次はと。兼田さんが麻疹にかかったから、変更分の設計書内部レビュアーがいるな」

 友野が手を挙げた。

「今日、明日はまだちょっと余裕があります」

「お願いします。3本いけますか?あともう1人、大石はどうだ?画面系なら得意だろ?」

 業務コンサルの大石が、もったいぶってうなずく。

「やっぱりそう来るか。ご指名とあらば仕方なし」

「助かる。えーと、次は」

 園田がホワイトシートに視線を戻した瞬間、会議室のスピーカーから間の抜けたチャイムの音が響いた。間をおかずに爽やかな女性の声が流れる。

「業務終了時刻になりました。手持ちの作業を片付け、帰宅の準備に取りかかりましょう。繰り返します」

「もう6時か」

「またかよ」

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